第31話 天使族 巨人族の大見合い大会⁉

 俺達が戻ろうとすると南の巨人王国の王アログロス一家だけでなく、未婚の女性20人程が北の巨人王国の男性と見合いしたいと言いだした。

 俺は、その話が出た時点で北の巨人王国の王アナトスの許可を取って、北の巨人王国に転移で向かう。北の巨人王国で国王代理のアキレスに話したところ大喜びで了解して男性の他に、こちらも20人程度の女性も連れていくので南の巨人王国側も20人程男性を連れて来て欲しいということになった。

 俺は見合い場所を帝国城の謁見室に提供するつもりで一度帝国城に転移した。俺は妻達を集めて巨人族の見合いをするので、女性兵士を含めると女性は60人以上になるので100着以上の見合い向けのフォーマルなワンピースのドレスを作ってもらい、男性側も同様なので100着以上のフォーマルな服装を作ってもらうことにした。

 服を作るのに帝国城の女性陣総出で3ヶ月程はかかるとのことであった。

 俺は再度南の巨人王国に転移で戻り服が出来る3ヶ月の間に、増えた巨人族を運ぶためにもう2隻改造筏を作った。その改造筏4隻をつなげたら、とんでもなく大きなものになった。

 海竜を呼んで見てもらい引っ張って見たが、とても無理だとあと3頭呼んできて引っ張ってもらってやっと動いた。

 出発する際に、海竜が子海竜を5頭、湖に連れて行ってくれと頼まれた。グランドール辺境伯爵領には3日程で着いた。グランドール辺境伯爵領の駅から新型の蒸気機関車と旧型の蒸気機関車に全員が乗り込み湖の湖畔にあるリンゴの木の駅に向かい、湖竜を呼び出し、預かった子海竜を渡してから筏で帝国城に向かった。

 北の巨人王国から先行していた巨人族の男性の多くは屯田兵として、帝国内の未開墾地を牛や自分の力で開墾し、住居も作っている。住居はログハウスで以前俺が世界樹のリンゴの木のそばの横穴の中で作ったものを参考で作った。

 巨人族の男性の多くが屯田兵として働いているのは、ダイスケが巨人族に屯田兵制度を説明した事によるらしい。

 巨人族が帝国領内に住むことから巨人たち専用の温泉旅館も建てた。

 屯田兵制度を利用した以外の巨人族には、その腕力を利用してドワーフ親方のもとで鍛冶師になった者や建築業の手伝いをしている者もいる。

 北と南の巨人族が帝国城に集まった。

 大見合い大会の前に、北と南の巨人族の女性にはドレスを男性にはフォーマルな服装に着替えてもらう。

 帝国城の謁見室で北と南の巨人族の大見合い大会が行われる。

 以前巨人族が30名程でも謁見室が狭く感じたことから、北の巨人王国国王家族と南の巨人王国国王家族も含めると100名程の巨人が集まるので、庭にもテーブルを置いて解放した。

 清酒、梅酒等の酒類やリンゴやヤシの実等のジュースをだす。ヤシの木の精霊のパルマエ様には媚薬を入れないようにお願いした。

 確かに巨人族の見合いの席には入れていなかったが、俺の妻達の飲んだヤシの実のジュースには入れた・・・まあ~いいか。

 大見合い大会は、成功裏に終わった。ただ、北や南の巨人王国に帰りたくないと、全員が屯田兵制度等を利用してここに残ると言い始めた。

 理由としては、温泉かな、温泉だな、温泉しかないか!・・・と俺は思っていたのだが、後で巨人族の居住希望者に聞いたら衣食住の充実、特に衣かな、裸同然が綺麗なドレスを着たら女の人は帰りたくなくなるな!男は食、酒の充実かな、いつの間にか官営の酒蔵が沢山できた。上手いビールも実験的に作って大見合い大会にも出したようだ、これも理由かな。

 屯田兵制度に参加した巨人には優先的に武器や防具を与えた。それもここに残る理由らしい。耕した畑や田から採れるものは4公6民だが、耕せば耕すほど取り分が多くなる。巨人のパワーでドンドン開墾する。

 今回の大見合い大会では、62組が夫婦になった。数が多い⁉合わない2組は北の巨人王国の次男アキレスと南の巨人王国の王の長女の娘でマレーナが夫婦になり、南の巨人王国の王の長女の次男アクギアスと北の巨人王国の娘のアキナが夫婦になったのだ。

 現世では今まで結婚式が無かったが、それを挙げた俺の妻達から聞いた巨人族の女性陣から合同結婚式を世界樹教の社で、披露宴を帝国城の謁見室で行いたいと希望された。

 合同結婚式を挙げる前に天使族の隷属の首輪を外すことにする。今回も儀式としてとり行う。祠も大きくして神殿作りの本殿のようにした。

 クーナ叔母様が結婚式で着た白い衣装、絵本の古事記の天照大神のような衣装を着て、大麻(おおぬさ)を立てて、後ろからエルフ族の巫女達が鈴を鳴らしながら続く、その後ろから俺達の娘達やその友人の女の子達が巫女見習の姿で続く。巫女見習達は楽器を持ち、笛や太鼓を鳴らしながら進む。

 世界樹の前の大きくなった祠にクーナ叔母様が拝礼後、大麻を振りながら

『世界樹様!呪われし、隷属の首輪により苦しむ3人の天使に苦しみを取り去り、自由を与えたまえ!』

と唱えると世界樹の女神様達が光り輝きながら降臨する。その中心に天使族の3人が寝たままゆっくりと降りてくる。

 世界樹の女神様達が作る光のドームの中でエンマ様と俺や俺の妻達、巫女見習の姿の娘達で円陣を作る。その円の中心に3人の天使族が降りる。俺達は隷属の首輪から神経などに絡みつく黒い蔦のようなものを1本ずつ剥がしていく、心臓や脳にも侵入している、それらを慎重に剥がして、隷属の首輪を取り外す。隷属の首輪を火魔法で焼いて灰にする。

 光のドームが揺らめきながら消えていく、3人の天使の様子を見る。生きている良かった上手くいった。

 彼女達は背の羽を動かしながら、世界樹の女神様達に拝礼する。

 女神様達が祠の中に厳かに戻っていく。

 3人の天使族は俺に臣下の礼を取り

「このご恩は決して忘れません。私達を臣下に加えて下さい。」

と言う、俺にアンナの義理姉、アマハ達3人が臣下に加わった。ところでアンナやアマハの天使族の国大丈夫なの、二人とも天使族の王の娘なのだが?

 最近、カイとソウジの天才が天才児グループを指導して反射炉を作った。

 凸レンズの授業で焦点を作って遊んでいたとき考えついたらしい。最初は太陽光を集めてお湯を沸かしたりしていたが、それをもっと利用出来ないかと考えて試行錯誤のすえ反射炉が出来たようだ。

 これで鉄道のレールが大量に作る事が出来るようになった。

 俺はこの大量のレールを使って、セバスチャン領から北の巨人王国まで約2400キロを蒸気機関車を走らさせる事にする。母親たちは身重で、エンマ様も体調が悪くなり、寝たり起きたりの生活を送っている。

 俺の子供たちが全魔法が使える、転移魔法も含めてだ。俺は精霊魔法でまず、真直ぐな道を作り、それを子供達が固定していく。子供達とアマハ達が仲が良いので現場についてくる。暑い日はアマハ達が風魔法で風を送ってくれる。

 出来た道に巨人達が、レールを設置していく。重い枕木も重いレールも巨人達は軽々と運び線路を作っていく。出来たところまで旧型の蒸気機関車がレールを運ぶ、蒸気機関でトラックやブルドーザー等の土木建設機械も設計作成され、それを使い始めた。

 労働賃金を支払う、その噂を聞いて住民が集まる。クリフォード領でも、セバスチャン領でも反射炉が作られ製鉄所が作られる。約2400キロが約80日で線路が北の巨人王国までつながった。

 中間地点にオアシス駅を作る。オアシス駅の隣に宿と今まで作って無かったヤシの木の精霊のパルマエ様の祠を線路の工事関係者等に集まってもらい造った。オアシス駅付近に温泉を探すが無かった・・・残念。

 まあ~暑い場所なので、人族用のプールと巨人族用のプールをオアシス駅隣の宿に併設して作る。時々人や巨人族の代りにワニが泳いでいるのが問題だが・・・!

 帝国城から北の巨人王国城まで、寝台特急で2日程で着く。合同結婚式を挙げた巨人族が新婚旅行だということで帝国城から北の巨人王国城まで行くことにした。

 北の巨人王国内で鉄道の開通式と結婚披露宴を行うことにした。新婚の女性達のドレス姿を見て未婚の女性が帝国城に行って見たいと人の移動が激しくなった。

 今度は南の巨人王国に向かって鉄道を引く、グランドール辺境伯爵領から南の巨人王国まで約3500キロ途中に鉄華仙と呼ばれる鉱山が鉄道の線路を阻むかのように聳え立つ。鉄華仙のせいで筏で海を渡ったのだ。

 グランドール辺境伯爵領から約1000キロでそびえたつ鉄華仙の麓につく、この鉱山の山は名前のとおり硬い!魔法で穴を開けようとしても、魔法が跳ね返されるほどだ。

 俺は鏨と鎚を持ち鉱山に向かう、体に魔素を纏い視力をあげていく。鉱山に皹が見える、その皹に鏨を当て鎚を振るう、轟音を上げて穴が開く。土煙があがる。それが収まると、穴の中から鉱物の竜が現れる。

 鉱物の竜の体表は黒く緑色の川が流れるような模様を身にまとう。その緑色の川が煌めくと口から鉱物の槍が俺に向かって吐きつけてきた。俺は吐きつけてきた鉱物の槍を取ると逆に鉱物の竜の右肩に向けて投げる。鉱物の竜は自分の鉱物の槍で右肩を壁に縫い付けられる。また緑色の川が煌めき鉱物の槍を吐く、俺は今度も鉱物の槍を取ると、鉱物の竜の左肩に向かって投げる。鉱物の竜の左肩が縫い付けられた。

 鉱物の竜の緑色の川が弱弱しく煌めくと口から鉱物の槍を吐きつける。俺はその槍を取ると鉱物の竜の口に向かってとどめだとばかりに投げつけようとすると、地竜が少年の姿になって俺を止める。鉱物の竜が小さな少女の姿になる。

『おやめください。御主人様、私が何をしたのですか?何でも言う事をききますから、命だけは取らないで下さい。』

デジャブを感じる。それに少女の姿は哀れを覚える。少年の姿になった地竜も

『この子は僕の眷属だ一緒に連れていけ!助けてくれれば、俺達はお前の臣下になってやる。』

と言って地竜と鉱物の竜の少年と少女が臣下の礼を取る。少女の体の大きさに合わせて小さくなった鉱物の槍を抜いて治癒魔法をかける。

 地竜や鉱物の竜のように人に変身できる竜は半神だったはずだ。その半神が俺の臣下になった、俺って何⁉

 でも、地竜も鉱物の竜も自由で偉そうだ。

 地竜と鉱物の竜にトンネルを掘ってもらう、あっという間に反対まで通った。俺達が苦労した道路も二人でまるで遊んでいるように作り上げていく。

 そのうえ、鉱物の竜が掘った穴から出た鉱物の残土から鉱物の種類ごとに分けていく。

 南の巨人王国まで道路が出来た。子供達が驚きながら俺のところまで転移魔法で飛んできたが、裸の女の子(鉱物の竜)を見て俺を睨んでいる。

 アンナの娘のアフロディーテが、友達を見つけて喜んでいるのか

『みんな誤解よ~♪地竜さんと同じ鉱物の竜、鉱ちゃんよ~♫』

と歌うような思念が伝わった。

 鉱物の竜の鉱ちゃんが鉱物を分けてあるので反射炉を作り、製鉄所を作り効率良くレールを作るつもりが、地竜と鉱ちゃんが鉱物からあっという間にレールも作った。アチャ~鍛冶師廃業だよ俺‼

 グランドール辺境伯爵領から南の巨人王国まで、地竜や鉱ちゃんのおかげで1週間もかからず線路が出来て、線路の開通式が行われた。

 再度、巨人達がもう一度新婚旅行だと言って列車を仕立てて南の巨人王国まで行く事になり、南の巨人王国でも開通式と結婚披露宴が行われ、ここでもドレスが大人気で帝国に行きたいと人や物資の流れが活発になった。

 帝国はそんな風に発展し、シオリやアンナ達が産み月を迎え明るい日が続く中、エンマ様が旅立った。エンマ様は前世の栞の魂が半分になったので、死んだときはシオリの中にあるもう半分の栞の魂と一緒になり一つになる等と言っていた。

 エンマ様が亡くなると同時に、シオリが女の子を出産した。産まれた女の子からエンマ様の風韻気が漂う。女の子に俺が触ると

『貴方の子供になっちゃた⁉』

と戸惑ったエンマ様の思念が流れこんだ。

 

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