第11話 暖かい陽気の下で

午前の授業が終わって昼休み。有希乃と一緒にご飯を食べようと声を掛けに行こうとしたところに晃德がやって来る。


 「おい、優一。昼飯一緒に食べようぜ。」


 もちろん断るわけもなく、


 「もちろん。有希乃も一緒にいいか?」


 「ひゅー!お熱いねぇ!」


 「からかうなよ。ほら、行くぞ。」


 有希乃も友達といたようだが一緒に来てくれることになり有希乃の友達には悪いことをした毎日はしないからと言い訳じみたことを言って、「できたてほやほやのカップルの邪魔をするわけにはねぇ~?」と少しからかわれながらも承諾してもらえた。

 そして3人で中庭へ移動。


 「ごめんな有希乃。俺のわがままばっかりに。」


 「ううん。私も誘ってもらえて嬉しかったから。」


 「そ、そうか...。」


 そう言って二人とも赤面状態。その間晃德は呆れた様子で購買のパンをかじっていた。

 しばらく無言状態が続く。その状況を見かねた晃德が話題を振る。


 「お前らが付き合っているってこと割と早く受け入れられたな。ここの情報網は一体どうなってんだか。」


 「確かにそうだな。」


 俺は晃德に同意する。

 思えば確かに早い。それに皆このことをあまり悪く思ってないみたいだし。この学校の人って心広いなぁ。お兄さん感動しちゃう。


 「私は嬉しいよ。皆に受け入れられて。ユウ君はどうかな...?」


 「お、俺も嬉しいよ。有希乃。」


 再び二人して赤面状態。

 晃德は顔を押さえてやっちまったと言わんばかりに倒れ込んだ。


 しばらく晃德がもうすぐテストだななどと話題を出して奮闘するもむなしく、予鈴が鳴った頃には晃德はかなり痩せこけた顔をしていた。

 でもおかげで来週末にテスト勉強を有希乃と一緒にできることとなった。

 ちなみに晃德は疲労で全然進まないだろうからと辞退した。

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