1 繰り返す
ピリピリした空気が漂う。 死と隣り合わせのこの場所は死者の平原。隕石のような業火の塊を幼い子供が魔法によって生み出す。しかし、その魔法を容易く切り裂く騎士。そこにカッコいいというより、可愛いと表現が似つかわしい、癖毛っが特徴の少年が名乗りを上げた。
「
血よりも赤く、黒い薔薇の花びらが、何万、何億と舞い踊る。花びらの集合体が槍の形を成形し、ドリルのように回転しながら敵を跡形もなく滅ぼす。更に薔薇の棘が次々に放出されて、当たった人間は穴だらけになり即死する。
「相変わらず、恐ろしい
端正な顔立ちで
「どっちが化物だよ、原浄の花五節、塗り潰せぬものはない、全てを黒に染める。
黒く美しい、全てを呑み込んでしまう程に、この剣は世界すら塗り潰してしまうだろう。スザナの剣と車楽屋の剣が交差する。凄まじい火花が飛び散り、スザナの剣が砕け散る。
「流石は七知者の車楽屋君ですね。ですが、そろそろ体力の限界ではありませんか?君が子供でなければ、額の汗を拭ってあげたいところですが」
「俺を馬鹿にしてるのか?まだ全然、超余裕だし。今から本気出すところだったわ。お前こそ武器を壊されて、焦ってるんだろ」
スザナは背中の剣を抜くと、乱れ飛ぶ棘を切り裂きながら、車楽屋との間合いを一気に詰める。車楽屋は焦ることなく、手を地面につくと。根と呼ぶには太すぎる、大木のような根が地面から突き出し、スザナを拘束する。
「これは流石にキツいですね。我が剣よ、燃え尽きるまで輝き続けろ。
剣に火が灯り、スザナを拘束する根に燃え移る。剣は根と共に跡形もなく焼き消えた。驚いた車楽屋の一瞬の隙をスザナは見逃さなかった。スザナが車楽屋を切り伏せる寸前で、一人の少年が間に入る。
「車楽屋様、ここは僕にお任せください。
「悪い任せた、俺は一度陣営に戻る。死ぬんじゃねーぞ」
「勿体無きお言葉」
車楽屋は疲れた体に鞭を打って戦場を走り抜ける。
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