となりの僕ら

碧鳴 直

第1話 夢の始まり

 朝、目が覚めると寝室の天井。二度寝しようと瞼を閉じても、部屋中に響く目覚ましの音、窓から差し込む日光がそれを阻害する。二度寝を諦めた青年、木原 蓮は手早く朝食を済ましながら、いつも通りテレビで星座占いを見ていた。

「ふたご座の方はざんねーん、最下位ですー。用心してないと不吉な事が起こるかも?ラッキーアイテムは、万年筆です。」

「あー最悪。」

占いの結果を不服に思い、そんなことを呟いていた。幸い、両親は仕事で朝早くから家にいなかったため、そんな愚痴を聞かれる心配はなかった。


 午前7時5分。学校に行くにしては少し早いが、いつもの蓮の学校へ向かう時間だ。家から電車を使い、学校まで約40分の道のりを使い登校していると最寄りの駅で違和感があった。全く人がいなかったのだ。「珍しー」そんなことを心の中でぼやき、椅子には座らずホームの黄色の点字ブロックで本を読みながら電車を待った。しかし、電車の先頭車両が見えてきたというのに一向に人が来る気配がしない。世界に自分1人しかいないと考えてしまうほど不気味なほどに。そんな中、電車が目の前を通り過ぎる数秒前、蓮は後ろから線路に突き落とされた。あまりの突然の出来事に声を出すことは叶わなかったが、押された衝撃で重心が崩れ、偶然背後を見ることができた。驚愕した。蓮を突き落としたのは蓮自身だった。(え?...俺?...)その声にならない言葉は、鳴り響いた警笛にかき消された。

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