阿陀仁の蕩散(二次創作『荒絹』)
昔々、ある山の
しかし、待てど暮らせどとばりが出来上がったという知らせはない。不思議に思った阿陀仁は許婚の伯父を訪ねて、少女の様子を確かめるように頼んだ。伯父は阿陀仁の頼みを聞いて少女の屋敷を訪れた。
しばらくして、阿陀仁はこの伯父から一方的に縁談の破棄を勧められた。許婚はいなくなってしまった。失踪したのだと告げられたのである。阿陀仁は悩み苦しんだけれども、それでも諦めきれず、少女の行方の心当たりを伯父に尋ねた。伯父はしばし物思いにふけっていたが、やがて決心したように阿陀仁を少女の屋敷へ案内した。
屋敷はうらぶれて、あちこちに蜘蛛の巣が張ってあった。そして、日の光を
阿陀仁は伯父の言った通りの道で、いつもとは違い牛を連れずに山を登った。山の上の女神の社までやってきて、それからその裏の、日が差さず、花も咲かず、鳥たちの
洞窟の中には無数の糸が縦横無尽に張り巡らされてあった。奥の方へと一歩踏み込むごとに身体中にそれが
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