人生彼女募集中!

とらじろう

第1話 ビッグチェリーの朝

「あー、彼女欲しい」

朝起きるたびに大地は思う。が、そう思い続けて17年8カ月と3日目の朝が来た。無論、大地17歳独身彼女無し歴17年8カ月と2日。超絶ビッグチェリーな冴えないボーイである。


そんな大地の朝のルーティンはまずテレビをつける。お天気お姉さんを見ながらお天気お姉さんの今日の顔面のお天気模様をチェケラッチョするのだ。

「うーん。美鈴のやつー、ちょっと今日は寝不足かな。48点。」

大地の採点は厳しい。大地の前では、綺麗なお天気お姉さんも、簡単に斬られる。ばっさりと綺麗なお姉さんを酷評して、自分のレベルを無理くり上昇させて心の健康を保つのが、大地の朝のラジオ体操みたいなもんなのだ。


さぁ、朝のラジオ体操が終わったら栄養補給だ。大して勉強もしない、部活もしない、何も目標などない大地は誰よりも朝飯を食う。今日も食パンを3つ焼いた。どっぷりと無駄にマーガリンを塗り、頬張る!一気に口に押し込み、コーヒーで流し込む。甘党の癖に苦手なコーヒーを飲むのはただただ[コーヒーを飲む自分]に酔うため。

「ふー、食った食った!さぁ今日も頑張りますか!」

大地よ、お前が頑張ったことなんてあったか?


そして大地の朝の締め。歯磨きの時間だ。大地の歯磨きは長い。大地の朝のルーティンの中でも、歯磨きは最重要項目。大地はとても勤勉な男なのだ。17年8カ月と2日、誰ともキスなどしたことはない。だが、だが、だが、大地はいつでも戦闘準備OK。いついかなる時に舞い降りるファーストブッチュのために自分を磨き続けてきた。無論、人生で磨いてきたのは歯だけである。

「ふー、はー、はー、、、、、よし。」鏡に大地の臭い息が跳ね返り、白い歯がギラッと光った。


「お母さん!行ってきます!」


大地の17歳8カ月と3日目が始まる!

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