第7話 …仁義無きSini

「そもそも、ことなんかにストーカーが居るのか?」

 俺は、iPoneアイポンを取り出して言った。

Heyヘイ Siniシニ、死体の隠し場所。」

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 おすすめは、瀬戸内海です。

〈ワンポイントアドバイス〉

 服に石を詰め込むと良く沈みます。

 友達で実践してみましょう。

 挑戦あるのみです。

 さあ、Letsレッツ tryトライ

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 レッツトライ!じゃねぇよ。

 ガチの講座し始めてんだけど。


「俺が悪かった、だから殺さないで……。」

 そんな他愛もない戯言たわごと応酬おうしゅうが、ただただ続いた。


「そんで、他にこと目線で怪しいところは?」

「他か……あ、そういえば。後輩の事なんだけどさ。」

 昼休みに聞いた話だと、いくらしき人物が家の前に紙袋を持って立ってたらしい。

「紙袋……それはいつの話だ?」

「先月の半ば位だって言ってたけど、何か分かったのか?」

 眼鏡の奥で目を細めた楚良そらは、考えを振り払うように軽く頭を振った。

「いや、ことに思い当たる事が無いなら多分違うと思う。」

「そっか。」

 これが、唯一の手がかりとしか言えない以上、またいくを疑うことになってしまう。

(何か、心苦しいな。)


「時間とってごめんな。そろそろ、俺帰かえ……。」

 ──ギシ……ギシ……。

 どこからか床がきしむ音が聞こえる、ただそれだけだが背筋が凍りそうだ。

 この廃校に人が来ることは無いし、怪談話も後を絶たない。


 恐る恐る、陽キャ達に聞いた怪談話を反芻はんすうする。

「なぁ、"最近この廃校近くで女性の叫び声聞こえる"らしいんだけどさ……あれ何?」

「安心しろ、こと。あれは裏山に住んでるオランウータンの鳴き声だ。」

 何でオランウータンが裏山にいるかどうかが気になる。

 在来種じゃないと思ったけど?

「ってか、オランウータンの方が怖ぇよ。」

 アマゾンじゃあるまいし。


 ───……ぁ〜い。どこですか〜。


 俺は消え入るような小声で楚良そらに確認をとる。

(おい、な……なんか聴こえるぞ!?)

 楚良そらは、日記を見ながら答える。

「安心しろこと。あれは裏山に住んでるチンパンジー……。」

「嘘つけ!」

 しまった、つい大きな声を……。


 ──あっ、ここですか。ふふ……。


「違う。俺ここ……、ここ違う!」

 片言かたことで震える声を、のどから絞り出した。

 足音が聞こえてきて、鼓動が早まる。

「くそっ!」

 俺はドアまで駆けて行って、ひらけないようにドアを背にして座った。



 実は俺。極度のビビりなんだ。

 夏になるとテレビでよくある恐怖映像なんて、もちろん見ない。

 それどころか、今でも同じくビビリな妹と一緒に寝たりする。


 ……な、何だよ読者さん!

 そんな目で見ないで下さいよ。

 も、もちろん妹とは健全な関係ですよ?

 け、健全な真夏の夜ですよ!


 ガチャガチャ。ガチャガチャ。

 ──開けて下さいよ〜先輩。

「あ〜!何も聞こえな……センパイ?」

「先輩。私、先輩に嫌われてるんですか?」

 こ、この声はいくか……。

 ビビらせやがって。

 ちょっとだけ怖かったじゃねぇか。


 ガチャ。

いく。別に嫌ってなんかないぞ?いつだって俺はフレンドリーさ!」

「良かった。ひぐっ、ぐすっ。」

 泣いてる。

 こんなに純粋無垢な涙を見たのはいつ振りだろう。


「安心しろこと。そいつは裏山に自生じせいするドリアン……。」

「そのしたを引きちぎられたくなけりゃ、黙ってろよ楚良そら。」

「先輩、フレンドリーの意味知ってますか?」

 そもそも、聞けば聞くほど裏山がグローバル化していくのは何故だ?

 東京よりも、様々な文化を取り入れている気がする。


Heyヘイ Siniシニ。フレンドリーの意味。」

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 フレンドリーとは。

 フレンドリーは、とてもフレドリーという意味である。

〈類義語〉フレンドリー、friendlyフレンドリー

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 さっきとうって変わって、凄い雑じゃない?

 しかも類義語は、2つに分けて1つだし。


「……だってよいく。」

「わ、私にどうしろと!?」

 嘆く後輩は、そもそも何故ここに?

 そんなことを考えながら、俺は部屋の隅にあるGグレーSステーション4に目を向けた。


 ╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼╼

 ■作者より


 純愛とラブコメ。

 皆さん、どっちが読みたいですか?

 正直、全く分からないので感想とかで教えてくれたら幸いです。


(コメディー作るの苦手なので、僕はどっちが選ばれても純愛を描きますけどね。)

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