ごみのようなエブリデイパート10

 部活には相変わらず誰もいない。あまつさえは若林さんすら来なかった。

 香恋ちゃんに誰も来なかったんで諦めたんじゃないですかと言っておいた。

 数日しても誰も来ないので相変わらず部室を自習室という名の読書室として図書館から借りてきた本を読みながら今年の活動実績作りのための人を後3人どうするか考えていると、若林さんが来た。

 とりあえず手当たり次第声をかけたがほぼ断られたようだ。

「どうしたら集められますか。」

 ガチなのをやめて講習サボりたい層を集めるしかありません。とは言えない。

 男子だってほぼ幽霊部員しかいないし。

 三好は地下街か駅で遊んでるだろうし。

 うちの妹はやってくれそうだったが毎日練習すると言ったら逃げられたらしい。そらそうだ。

 沈黙が流れる。

 若林さんが泣きそうになる。

 すると、扉があいて、都島さんがやって来た。

 自習室は人が多いので来たようだ。

 入って

「修羅場ですか。」

「違います。女子のガチチームメイト探しがうまくいかないだけです。」

「じゃあ、藤倉くんが女子になればいいんじゃないですか。」

 何言っているんだこの人。

「そうですね。先輩が女子になればいいんですよ。」

 みんなおかしくなってきた。

 まだ気温は30度越えていないぞ。

 桜だってまだ咲いていない。


 都島さんはどこから取り出したのかスカートと女子用のリボンを俺に見せながら、若林さんと一緒に詰め寄ってくる。

 体格差があるので女子二人でも無理すれば逃げられないだろうが。

「切るためのものがありませんね。」

 切ったら血が出て死にます。

「麻酔も必要ですよ。」

 なんだこのノリ。



 そしてついに都島さんが攻撃してくる。

 華麗にスルーする俺。

 壁にダイブする都島さん。

「女子にダイブされて喜ばない男子がいるのか。」

「スカートはかされそうになるのはごめんです。」


 ともかく部室から逃げて家に帰った。

 翌日の放課後、部室に行くと、若林さんが

「昨日はごめんなさい。あわせて藤倉さんの

 連絡先を教えてください。」

 とのことだったので教える。

 妹にに聞いたかと何気なく聞くと、連絡先を消したので知らないとのことだった。


 ともかく誰も使わないので部員であれば、この部屋はある程度自由に使っていいと伝える。鍵については香恋ちゃんにもらってくれと伝える。




 翌日、早速彼女と都島さんがいた。

 何かをやっているようだが、席をはずした際に何気なく作業を見ていると、

 プリントアウトされたホームページの紙がおいてあり、内容はタイの病院や麻酔のことだった。




 本当に性転換させる気じゃないかと身震いしながら、家に帰ると帰りの電車で美卯さんがいたので話をする。

「桜ちゃんらしいね。」

 とのことだった。


 若林さんが真剣に人探しをしているのを見て取り合えず今年のチームメンバーだけは探そうと思い、三好に声をかける。

 三好は今年もサボれるので参加する気は満々だった。

 2年生は昨年度に都島さんとの修羅場を起こしている関係で難しいので一年生の数あわせが必要かなと考えながら、若林さんに相談するのもあれだしなとも思いながら放課後になる。

 部室に行くと若林さんがいた。


 どう頑張っても本気でやってくれる人はいないようで、意気消沈していた。

 ともかく数あわせをいれてチームを作ってから考えればと言うも真剣にやらない人たちが気にくわないらしい。

 俺も真剣にやっていないが。

 すると都島さんがやって来た。

 どんな感じかを聞いた後、やはり性転換をさせるしかないのではという考えで若林さんと同意しそうになったため逃げ出す準備をしていると、意外な人が香恋ちゃんと来た。

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