えぴそーど15 アイツ

 それはとある日の土曜日。


 俺はリュックにリンゴジュースと、2人分のコップと、お菓子を詰めると、靴を履いた。


 窓を開ける。


 そして、約5メートル先の窓へとハシゴをかけた。



 いつも通り目が覚めた。


 私は休日とか平日とか関係なく朝の6時には目が覚める。


 だけど、朝の頭がスッキリとした感じはなく、ずっとズーンと重いままだった。


 首を鳴らすと、テーブルに目を向ける。


 そこには二枚のプリントが置いてあって、その端っこには、『今度一緒にカラオケ行こうね 』と書かれているのを見て、思わずため息が漏れた。


 昨日、金曜日は学校を休んだ。だけど、別に体調が悪い訳じゃなくて、単純に行きたくなかっただけ。


 そのプリントはあきちゃんが持ってきてくれた物だ。わざわざ逆方向なのに、彼女は嫌な顔一つせず持ってきてくれた。


 だから、尚更私は苦しくなった。


 自分の気持ちでイライラして、拒絶して。学校に行きたくないのも、アイツに会いたくないのも、全部自滅。


 私の勝手な気持ちで自分の首を絞めてるだけ。


 はぁ、と息を吐く。


 雨谷「喉、渇いた」


 のそりと立ち上がる。


 雨谷「なんか、リンゴジュース飲みたいな…」


 その時。


 コンコンと窓が叩かれる音がした。


 そして続けて。


 ?「雨谷ー、すまん開けてくれ」


 私は驚きのあまり、目を大きく開く。


 はっと息を飲んだ。


 雨谷「え、なに…」


 その声に聞き覚え…ってレベルじゃないぐらい覚えがある。


 私の隣の席で、幼馴染みのアイツだ。


 震える手をカーテンにかける。


 その瞬間、ガシャンと音がした。


 雨谷「え、ちょ、まじ?、大丈夫!?」


 確実にはしごが落ちた音だ。


 私は慌ててカーテンを開ける。


   「あ、わりぃ、はしご落ちたわ。だから入れてくんない?」


 アイツがにこりと笑う。


 雨谷「なにやってんの…まぁいいけど」


 数日ぶりにアイツと、目があった。


 

 


 


 


 


 

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