誰かの悶々~3人目

…なんだか、遠い存在になっていく気がして、とても怖い。


煌。


お前は一体何を考えとるん?


ハンカチで、あの子の顔を当てる時の…あの顔、


まるで、リンゴを食べてしまった白雪姫を見たときの


―――――嬉しそうな魔女みたいだ。


…いや、違うな。

魔女は、白雪姫に対して殺意を持っていただろうが、



煌からは────愛おしさがにじみ出ている。



何がそんなに嬉しいんや。



ずっと、おれが見える範囲で王子のままで居てくれれば…──

なんて、もう遅い、いや、元々手遅れだったのか?



いつから?なんで?おれといたときは、そんなんじゃなかったやろ―――



地味男を運ぶ彼の後ろ姿を悶々としながら見送ることしか出来なかった。

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