同じクラスになる確率

僕が通う学校は、全部で9クラスあった。


僕は、9組だった。

そして、翔は…


「おいおいおいっ!なんで一緒じゃねぇんだよっ!」


と、小声で騒ぎ立てる彼は、8組だった。

「まぁまぁ。9クラスもあるんじゃ、一緒になる確率なんて低いでしょ?

それじゃ、またあとで。」


名残惜しそうに見る翔と別れ、教室へ向かう。



…ああ、どうか平和なクラスでありますように…



ただ、それだけを願っていた。


ガラッと開ける。…ハッとした。




____そこには、光輝くようなオーラを放つ、王子様を僕の目は一瞬で捉えてしまった。




即座に、ふいと目を背ける。



……そうだよね、みんな等しく誰かとなる確率は1/9。同じクラスになれなかった翔だって、

同じクラスになってしまった王子だって、等しく同じ確率。



たまたま一緒になった…それだけ…。



そう自分を納得させ、出席番号の通りに着席する。



…それに、王子様と僕なんかじゃ、すべてのステータスにおいて雲泥の差。


僕は、地味オブ地味を極めてるんだ!そもそも関わったりしないさ!




僕は、もう目立つような真似なんてしたくない。

古傷をまた開かせないでくれ。

面倒事は、勘弁なんだ。




関わることなんてないと言い聞かせる。


だけど、

だけど。


何故かザワつく心を鎮めて、新たな生活のことを考えて過ごした。

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