罪と罰~罪編~

ようすけ

3つの扉

罪と罰へようこそ


ヒメヤマカナトさん。貴方には3つの扉から1つ、自由に扉を開ける権利があります。


何も無い真っ白な世界に声が響く。


1つは罪を力にする扉。その声が告げると左手に罪と書かれた扉が浮かぶ。この扉を選べば貴方が犯す罪に価値が生まれます。


1つは罰を力にする扉。その声が告げると右手に罰と書かれた扉が浮かぶ。この扉を選べば貴方が裁く罰に価値が生まれます。


1つは咎を棄てさる扉。その声が告げると正面に平と書かれた扉が浮かぶ。この扉を選べば何の力も得ません。


「これは・・・?おれは死刑になったはずじゃ・・・これはなんだ?」


扉を1つ選択してください。


「扉を1つ・・・選んだ扉が・・・価値?・・・何の力も得ないなら罪か罰かどっちかしかないよな・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ罪の扉で」


罪の扉だけが残り、2つの扉が消える。


罪の扉を選んだ貴方にはルールを知る権利があります。声が告げるといつの間にか紙を手にしていた。


貴方は死に、これから異世界へと転生されます。


罪と罰の扉を選択された転生者はステータス以外にTBCを使うことができます。


TBCとは罪と罰コインを指します。仮想通貨、暗号通貨、匿名通過、そのようなものと考えてください。


TBCは異世界の罪と罰の総量と割合等により価値が変化します。


TBCはカルマランクを上げることにより異世界ハールノールのありとあらゆるものと交換が可能です。


現在の1TBCの価値は金貨1万8000枚に相当します。これは月当たりの平均労働賃金金貨30枚に50年を掛けたものです。


TBCは0.0001BTC、この場合金貨1枚銀貨8枚相当から換金が可能です。


TBC価格は常に変動しています。異世界の罪が増えれば相対的に価値が上昇します。


「なんとなく・・・わかったような?」


「わかったの?流石だね!」


急に人の声がしてカナトが振り向くと、そこには羽を生やした小人が飛んでいた。妖精というやつだろうか?


「妖精?」


「まぁ似たようなものかな?普段はカナトのステータスの中、ヘルプが私の役割だよ!」


ふよふよとカナトの周りを飛ぶ妖精。


「ヘルプ?」


「ほらステータスって口に出して」


「ステータス?」


するとカナトの目の前に1枚のプレートが出現する。


ヒメヤマカナト

年齢15

人間

レベル1

HP25

MP30

強さ12

魔力15

素早さ7

賢さ8

スキル/料理/読書/掃除/インターネットショッピング

魔法/なし

カルマポイント0

称号/なし

TBC100.0000


「ゲームみたいだなこれ。TBCは100ちょうどか。んでヘルプはこれな?」


「私の事はアイって呼んでね!」


「アイ。で、何すればいいの?歳も35だったはずが15だしさ」


「罪の扉を選んだカナトはハールノールの罪を増やせばいいんだよ!そうするとTBCの価値が増えるの!」


「ハールノールって世界なのか?TBCねぇ・・・価値上げてどうするんだ?自分で現金化すればいいの?」


ちっちっちっと指を振るアイ。


「TBCは現金以外にもハールノールに存在する全てと交換ができるんだよ」


「んー・・・なんかレアなアイテムとか?」


「そうそう!そのうち分かるけどハールノールはドラゴンや魔法なんかのファンタジーな世界なんだよ!だからカナトのいた世界とは全然違うんだ!」


「へぇ・・・ラノベみたいな?」


「そう!若返る薬や魔法の書や聖剣や魔力消費を1にする指輪とか!」


「ゲームとラノベ混ざった感じかな・・・まぁわかった。で、価値を上げればいいのね?」


「そう!TBCは主に罪・・・魔物退治とかでも手に入るしレアなアイテムをTBCに交換したりもできるし人を殺しても手に入るよ!」


屈託のない笑顔で笑うアイ。正直笑いながら人を殺してもとかドン引きなんだけど。


「・・・まぁ・・・わかったよ。人殺しは置いといて魔物退治でも一応増やせるんでしょ?要は価値を上げて沢山増やせばいいのね?で、カルマランクって何?」


「カルマランクは罪のランクだよ!これが上がればレアリティの高いものとTBCを交換できるようになったりするんだ!」


「ふーん・・・要するにTBCにどれだけ価値を付けても量を持っていてもゴミみたいなアイテムしか交換できないのね」


「そうだよ!あとTBCはスキルと交換したりステータスのポイントと交換できるから!頭の中で選択リストから選べるの!」


「なるほど・・・というかこのスキル・・・料理は得意だけど掃除に読書にインターネットショッピングって・・・趣味じゃないか」


「その辺も含めて向こうに行ってから使い方を覚えればいいんだよ!そろそろ行こっか!」


「あーわかった。続きは後ででいいか」


こうしてカナトは罪の扉を潜る。



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