天之馬ト地之犬の話

もりさん

第1話 天と地の景色

天之馬は天翔ける馬。

空を駆ける翼を持ってはいても、

天の事は、わからなかった。

地を駆ける馬と似てはいたが、

その眷族ではなかった。

地之犬は地を這う犬。

身も心も疲れ切った飼い犬だった。

亡き飼い主につきそう地之犬は、

死者を弔っているように見えた。

疲れ果て、首輪の飾りを引きずりながら

墓場の周囲の葦の茂みに隠れて眠り続けていた。

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