エピローグ

042 黒魔術、俺らは幸せになる

 また数ヶ月が経った ——


「りんごぉ! これ見てみろよ!」


 昼休み、さくもは俺にスマホを見せて来た。


「お、元気そうじゃねぇか」


 ノアと、脱皮したノアの殻が写ってあった。ノアは現在、さくもの家で非常食として飼われている。でも、なんとなくだけど、少なくともノアが食べられることは無い気がする。


「爬虫類も案外可愛いもんだなぁ! ハッハッハ!」


 さくもはそう言いながら、ストゼロをグビッと喉に流し込んだ。



 ◆◇◆



 放課後 ——


「充子、どこに行くんだよ?」


 俺は、帯人町の中でも比較的繁華街に当たる所へと連れて来られた。駅もあって、人通りも多い。俺ら以外にも制服デートをしている学生も見受けられる。


「新しくタピオカ屋ができたの」


「タピオカ屋?」


 充子がちょっと遠くを指差す。確かにタピオカ屋があった。行列が発生している。


「タピオカを使って、久しぶりに黒魔術をかけたくなったの」


「な、何のだよ……?」


「幸せで、面白い日常が続く黒魔術よ」


「そ、そうか……。ありがとな」


 充子の手をギュッと握り、行列の最後尾へと並んだ。



 ◆◇◆



 完結

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