【SS】妹「兄さん、彼女作ったんですか?」 俺「ああ」

文月 景冬

第1話「拒絶」

俺「実はそうなんだよ。誰から聞いたのか知らんが」


妹「おめでとうございます。よかったじゃないですか」


俺「ありがとうな。ホント俺には勿体ないくらい可愛い子でさ。もう幸せ絶頂だよ」


妹「へぇ、それはそれは。兄さんが幸せそうだと私まで嬉しくなりますよ」


俺「でへへ」


妹「それで、私にはいつ紹介してくれるんですか?」


俺「あ、やっぱ結構気になる感じ? 俺の初めての彼女だもんな」


妹「はい、それにもしかしたら私の姉になるかもしれない人ですし」


俺「お前っ、気が早いっつーの!」テレテレ


妹「兄さんの様子を見ていたらもう2人の熱々っぷりが想像できますもん」


俺「そうか~! わかっちゃうか~やっぱ!」


俺「でさぁ、なんか言いにくいんだけど、実は元々今日お前に紹介するつもりだったんだ」


妹「え? そうなんですか?」


俺「うん。で、今もう外で待ってもらってるんだよね」


妹「凄い偶然もあったものですね。早速会わせてくださいよ」


俺「ああ。おーい、入ってきてー!」


ガチャッ


彼女「はじめまして妹ちゃん。私、お兄さんとお付き……」


妹「ぶっさ」


俺「は!?」



妹「なんですかこの人。めちゃくちゃブサイクじゃないですか」


彼女「え……? え……?」オロオロ


俺「おい! お前ふざけんなよ!」


妹「ふざけてませんよ。兄さん、これは親不孝ってものです」


俺「ご、ごめんね彼女さん! こいついつもはこういう冗談言わないんだけど……」


彼女「う、ううん……私は別に……」


妹「スタイルもあんまり良くないですよね。私より背も低いし胸も小さいし」


俺「お前もう一旦黙ってろ!」



妹「いや、でも、なんと言っていいか……」


妹「この人の存在はもちろん有罪ですけど、これは兄さんもおかしいですよ。わざわざこんな人を選ぶなんて」


俺「はぁ!?」


妹「だってそうでしょう? 身近に私みたいな女がいて目が肥えているはずなのに。もしかしてB専なんですか?」


俺「やめろ! 彼女さん可愛いだろが!」


俺「彼女さん! 本当に気にしないで! こいつ今おかしいから!」


彼女「あ、あはは……嫌われちゃった……かな?」ウルッ


俺「うわ、涙目になってる! 妹! 謝れよ!」


妹「おまけに弱虫のウジウジナメクジ女とは」


俺「いい加減にしろ!」ブンッ


バチィンッ


妹「……」ヒリヒリ


俺「あ……」



妹「……」ヒリヒリ


俺「わ、悪い……いや、ついカッとなって……」


彼女「わ、私……き、今日はとりあえず帰るね……」グスッ


俺「あ……」


ガチャッバタンッ


妹「……」ヒリヒリ


俺「……」


俺「いや、でもお前が悪いよ」


妹「まあ、そうでしょうね」



俺「え、なんでお前あんなことしたの?」


妹「ついカッとなったので」


俺「そう……」


俺「初顔合わせであんなことになってこれからどうすりゃいいんだよ……」


妹「別れればいいじゃないですか」


俺「もう俺にはわかんねぇよお前が……」


妹「え、だって完全に私に遠く及ばない系の女だったじゃないですか」


俺「その基準俺別に採用してねぇよ」



妹「まあ、兄さんに彼女はまだ早かったってことですね」


俺「その結論おかしいだろ」


妹「次の彼女を連れて来る時はもっと考えてからにしてくださいよ。わけわかんないの連れて来たらどうにかしてくれますから」


妹「いや、そもそも告白されたら一度私を通してください。立ち合います」


俺「なんでお前に見定められなきゃいけねえんだよ」


俺「それにそもそも俺はまだ彼女さんと別れてない」


妹「ふん。どうですかね、涙目逃走したんですよ? もう終わったに決まってます」


妹「念のため表に塩撒いておきますから」パッパッ


俺「お前なぁ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る