第二章6話 父の隣には別の女性

「では、そろそろ魔王城に入っても良いですか?」


「ま、まぁ、良いだろう。

魔王城に入っても良いぞ。

ただ、ここから出してもらっても良いか?」


「あぁ、そうでしたね。失礼しました。」


ターダノは地面に埋まっている門番の一人を解放した。

そして、門番に魔王城への門を開けてもらい、遂にターダノは魔王城に入ることができたのだった。


「あぁ、なんか、懐かしい感じがするな。」


ふと、ターダノはそう呟いたが、相変わらず魔王城はピンク色に染まっていたが、ただ、魔王の好きな色の趣味が変わったのか、ピンク色が少し薄くなっている印象を受けた。


(色の趣味が変わったら塗り替えも行うんだな。大変だな塗る人も。)


そんなことを思っていると、ターダノの前に良く見知った顔の男と、若いもう一人の女性がいつのまにか立っていた。

その良く見知った顔の男は父ダノンゾルデだった。

また、その隣にいる女性は父と腕を組んでいる。


「ターダノ、大きくなったな!」


「ありがとう!

ただ、そんなことより、隣の腕を組んでいる人・・・お父さんはお母さんと別れちゃったの?」


「違うぞ、ターダノ。この子は「私の将来の旦那さんよ」ち、違うぞ!」


「ほら、やっぱり・・・」


「だから違うっていってるだろう!

タルビオ、冗談はよしなさい。」


「はーい、わかりましたー」


「ターダノ、この子は既に大人びているがタルビオと言って、お父さんとお母さんの娘だ。

だから、ターダノの妹になるんだ。」


「え、お父さんとお母さん、僕がいない間に子作りしたんだ・・・」


「あぁ、なんともターダノが居なくなってから、お父さんもお母さんも寂しくなってしまってな。

寂しさを埋めるために・・・って、なんて話を息子と娘の前でしてるんだ俺は!

そうじゃなく無いんだけど、ターダノだけだと寂しいかな?って思ってな、お母さんと話し合って頑張ろうかなって話になったんだ。」


「そうだったんだ。

まぁ、僕も確かに一人じゃ寂しい感じがあったし、すでに大人の女性って感じだけど妹ができて嬉しいよ。」


「大人の女性に見てもらえるの?

やった!嬉しいわ、ターダノお兄ちゃん!」


「タルビオ・・・って言うんだね。よろしくね!」


「うんうん。受け入れてもらえてよかった。

ただ、ターダノ、少し気になったんだが角はどうしたんだ?」


「これは・・・色々あって・・・」


父とそんな話をしていると、ターダノは後ろから声をかけられた。


「あら、ターダノじゃない!

大きくなったわねぇ〜」


後ろを振り向くと後ろには、母ターグリフとなんか見たことがある小さな女の子がいた。

ターダノは、その小さな女の子のことはあまり目に入っておらず近ずくと、小さな女の子が


「あっ、怖い人」


と言ってターダノとターグリフの前に立ちはだかった。


「どうしたのタルマノ?」


「あ、このお兄さん、家の中を覗いてた・・・」


「え?どういう事かしら?」


「うーんとね。このお兄さんが私が転びそうになった時に助けてくれたから、そのあと少し話をして帰ることにしたの。

それで、家に返って遊んでたら、外がうるさかったからどうしたのかな?と思って外に出たら、お兄さんが警備兵に私の家の中を覗いてた者がいるって、お兄さんを捕まえてたんだよ。」


ターグリフは明らかに不快感があるような表情をしながらターダノを見た。


「どういう事かしら?ターダノ?」


「違う違う。誤解だって!

家に直接転移しようと思ったんだけど、いきなり家に転移したらお父さんとお母さんだし攻撃されかねないかなって思ったから、扉から入ろうとしたんだ。

だけど、3年も経ってるし、なんとなくいきなり入るのは怖くて、窓から中を見てたんだ。

そしたら、警備兵に捕まってしまって・・・この角が無くなったのも、捕まった時の罪として切られたんだ。」


「まぁ、そうだったのね〜

タルマノ、この子はお父さんとお母さんの子どものターダノと言って、タルビオお姉ちゃんとあなたのお兄さんになるのよ〜」


「そうなの?」


「そうなの。だから怖がる心配はないのよ〜」


「そうだったんだ!よかった!お兄ちゃんが怖い人じゃなくて〜」


「ふふふ〜」


遂に、ターダノは念願の、父ダノンゾルデと母ターグリフとの再会。

また、妹のタルビオ、タルマノとの出逢いを果たすのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る