第一章15話 友達を紹介したらお父さんが可哀想な顔をした

エアと友達となり、ターダノはエアを連れてダノンゾルデの元に戻った。

そして、ダノンゾルデにエアをしょうかいすることとした。


「お父さん、戻ったよ!」


「そうか、気になっていた者には会えたのか?」


「うん、会えたよ!しかも友達になっちゃった!」


ダノンゾルデは大隊メンバーでターダノの友達になるような年が近い魔族はいたのか疑問に感じたものの、否定をするとターダノが悲しむと思い、話に乗ることにした。


「おお、そうか!ターダノはとても積極的だな!凄いぞ〜

では、どの魔族と友達になったのか、教えてもらえないかな?」


ダノンゾルデが尋ねると、ターダノは左側を向いて、


「この魔族だよ!名前はエアって言うんだ!」


ダノンゾルデはターダノが紹介する方を見るも、何も見えなかった。

しかし、ターダノは魔族がいると言っている。


「・・・ターダノ、お友達はエアなのか?」


「そうだよ、エアだよ、エアはお父さんからは見えないみたいなんだ」


「見えないお友達・・・そうか、ターダノはエアと友達になったのか」


「うん、エアとお友達になったんだ!」


ダノンゾルデは驚愕していた。

ターダノはエアが友達と言っている。しかも見えないときたもんだ。

つまり、エア=空気だとダノンゾルデは思い込んでいるため、ターダノは空気とお友達という可哀想な子だと認識してしまっている。

しかし、ターダノからはエアが見えているので、普通にエアを紹介しているつもりでいる。

そのため、食い違いが起こっているのだが、二人ともそのことに気づいていなかった。


ここで、エアがその状況に一早く気づき、ターダノに説明した。

ターダノは父親が【エア=空気であるという認識である】ということをおそらく思っているという事を把握し、エアに見えるようになってもらおうと考えた。

しかし、今すぐ見える状況にするための方法を思いつかなかったので、とりあえず、エアに何かをやってもらい、実際にいるという認識をダノンゾルデにしてもらいたいと考えた。

そのため、エアが何をできるのかという事を確認すると、ゲットの魔法を使えるという事だったので、その魔法をダノンゾルデにしてもらうことにした。


「お父さん!お父さんはエアの事を空気だと思い込んでない?」


「え、いや、うん、そう思っているぞ。」


「そして、僕のことをかわいそうな子供のような認識をしてない?」


「いや、そんなことはないぞ。く、空気が友達だって悪いことじゃないからな・・・」


「あ、やっぱり!お父さん、違うよ!エアはいて、空気という訳じゃないから。

ほら、エアにちょっと面白いことをやってもらおうと思うから、見てて!」


「あぁ。うん、分かった。」


ターダノはエアを見るとゲットを使って欲しいと伝えると、エアは手をまっすぐ出してすぐに戻した。


「ゲットオブアーティファクト!」


その時父はターダノをとても悲しそうな顔をしながら見ていた。

が、その後すぐ驚愕した。


「神器の反応が、消失した!?」


すると、エアは、父が持っていた神器ガルディアスを持っていた。


「エア!凄い凄い」


「へへ!褒められるの嬉しいね!ありがとうターダノ!」


「いいえ、どういたしまして。

それはそうと、その神器はどうするの?」


「神器は契約した者しか使えないんだ。

この神器ガルディアスは僕の神器ではないから使えないし、ダノンゾルデ様に返すよ」


「じゃあ、お願いね!」


「はーい!じゃあ、戻すね〜テイクオブアーティファクト!」


その瞬間エアが持っていた神器ガルディアスは消失し、ダノンゾルデは再度驚愕した。


「消えた神器の反応がある・・・これは、ターダノがやったのか?

いや、違うな、ターダノはこんな特殊な魔法は覚えていないはず。

では、エアというターダノの友達がやったというのか・・・」


「そうだよ、お父さん!エアはすごいでしょ〜」


「凄いな!実際に見えないのが残念だが、そこにターダノの友達のエアが実在するのだろう。

俺の神器がターダノの左側の空間に移動したという認識があった。

だから、ターダノ信じるぞ。疑って悪かったな。」


「いや、いいんだよ。勘違いは誰でもあるし、お父さんに信じてもらえてよかった!

ただ、エアは本当にお父さんからも見えないくらい凄いんだね!

僕の友達として凄く誇りに思うよ!」


「そうだな、エアは凄い。俺が保証するよ。

エア、ターダノと友達になってくれてありがとうな」


エアは首を横に振りながら頬を赤く染めていた。

喋ればいいのに、ってターダノはエアに言うと、エアは緊張するから喋れないとのことだった。


かくして、これではじめての友達を父親に紹介することができたターダノは、今日1日をとても良い思い出として記憶に残すのであった。

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