第19話 チ○コ・シル特攻
【
ふと気が付くと、僕は日焼けマシーンの様な全身がすっぽり入るカブセルの中にいた。訳がわからず、蓋を持ち上げ起き上がる。
『やあ目覚めたかい?』
突然耳元から若い女性の声が聞こえてきた。手で探ると僕の頭にインカムらしき物がセットされてるようだった。
「……ミラ教授?あれ、ここどこです?」
辺りを見渡すと、薄暗くかなり古い洋館のホールっぽい。え?なんか見た事あるんだけど?
馬鹿デカイ重厚な観音開のドアに、二階へとつづくタカラヅカみたいな階段。ホールの左右にもドアがあり、階段の裏手にも部屋が有りそう。
これってまさか……
「バイ○ハ○ード?」
あの超有名ゾンビゲームの1作目の洋館ソックリなんだけど?
「ちょっと、どーなってるんですか?何で僕ここにいるんです?」
『落ち着きンたまえ、性器くん』
「
『……え?なんで漢字ボケわかったの?』
「そんな感じがしたんで。つか、アンタいっつもボケるし」
『上司に向かってアンタは許し難いなぁ』
「いや、そういうのいいんで。だからどこなんです?ここ?」
『聞いて驚きンたまえ、とある絶海の孤島だよ』
「はぁ?なんでそんなとこに?この怪しい洋館はなんです?」
つかさっきから『ン』が余計なんだけど。
『今から君にその建物の探索をしてもらうのだ』
「えぇ!やですよ、こんな気持ち悪いトコ」
『ふふん、嫌でもやってもらわないと帰れないからね?』
何嬉しそーに言ってんだ?この人。絶対なんか企んでんだろ?
「やりませんって。アンタ、ゾンビとか仕込んでるでしょ?」
あ、ちょっとギクっとした気配があった。うわあ。当たりかよ。
『そんなビビリ芸人みたいな前振りいらないから。サッサと行きなさい!』
その言葉と同時に全身にビリビリと電気が走り、僕は思わず仰け反った。
『さもないと電気流すから』教授の憎々しい声がインカムから響く。
「流す前に言えよ⁉思いっきり流れたけど⁉」
仕方なく僕は前に進み始める。うう、めっちゃ嫌だな。取り敢えずホール左手のドアの前に来たけど開けたくない。
「教授、なんか武器とかないんですか?手ぶらでゾンビと戦えません」
まだゾンビが出るとは限んないけど。
『ケツポケットに入ってるだろ?』
オイオイ、若い女の子がケツって言うなよ。せめて尻と言って欲しい。
僕はケツポケットを探ってソレを引っ張り出した。
なんだコレ?普通の木の棒?太鼓のバチ?
『スリコギだ』
「おい、スリコギでどーすんの⁉ゾンビに『おっ、今日もキレイに腐ってますね〜』ってゴマでもするんかっ⁉」
『いやいや、おチ○コくん』
「
『ゾンビにゴマするんだったら、上司にゴマすっといた方がいいんじゃないの?』
チ○コスルーかよ?つか、そういう嫌味で持たせたの?
「教授〜、最近おっぱい大きくなりましたね……いでででででででっ‼」
長いっ電流さっきより長いっ!
「はぁはあ、アンタ褒めろって言ったろーが⁉」
『君はセクハラとゆー言葉を知らんのかね?オ○ンポくん』
「そーゆーアンタはパワハラって言葉を知らんのか⁉ってか
この女、絶対ドSだ。
『いいからトットと行きンたまえ、おチン○ンくん』
「……ねぇ教授。一つ聞いていいですか?なんで僕を助手に採用したんです?」
『そんなの名前で遊べるからに決まってるだろ?』
やっぱりかよ。もう絶対ツッコんでやらないからな。
取り敢えず切りがないから、まずドアを開けてみよう。僕はドアノブに手を掛けて、そーっと回してみる。うーん鍵は掛かってないな。むしろ掛かっててほしいのに。無駄にデカイドアを開けるとそこは食堂のようだった。
うわあ、ゲームでもあったよ、こんな場所。薄暗い部屋に長いテーブルがどんと置いてあり、椅子が並んでる。ふと部屋の端の方を見ると、テーブルの下で何かがモゾモゾ動いていた。
ゾンビじゃん?良く見えないけどあれ絶対ゾンビじゃん。ゾンビが人喰ってて、近付いたらユックリ振り向くんだよ、ゲームだと。
僕はスリコギを握りしめ、恐る恐る近付いて行く。てか、スリコギはなんかの役に立つのか?これしか武器ないから仕方ないけど。
んん?近くまで来て、ゾンビではない事がわかった。
なんだろ?あのぷるぷるした物体は?えーっと、……スライム?
「教授ー、なんか肌色のスライムがいるんですけど?
『もっと詳しく報告したまえ』
「はあ、全体的に肌色で、頭?の先っちょがピンクで……」
ってこれ……
おっぱいじゃん⁉
と思った瞬間、おっぱいがびょーんと僕の顔に被さってきた。
「きょっ、教授‼おっぱいが、おっぱいがっ⁉モガっ⁉」
柔らかいおっぱいが僕の鼻と口を塞ぎ、呼吸ができない。く、苦しい。
僕はこのままおっぱいに包まれて死ぬのか。それもいいかも。いや、ふざけんな。まだ童貞なのに、おっぱいだけで逝かされてたまるか。
「んのーっ‼どーてー舐めんなっ」
僕はなんとかおっぱいを引き離して叫びつつ、スリコギをおっぱいに突っ込み、グルグル掻き回す。するとおっぱいスライムはボンッと弾けて液状に流れていき、そのまま蒸発してしまった。
「はぁ、はぁ、……何なんですか、何なんですかあれ‼」
『ふむ、どうやらその屋敷にはおっぱいスライムが繁殖しているらしいな。しかも……いっぱい!』
「おっぱいスライム⁉はぁ?ナニソレ?バカなの⁉」
『いるもんは仕方ないだろ?幸いスリコギでナントカなるのはわかったし。そのまま探索を続けたまえ』
「いや、いろいろおかしいから!つかスリコギ危ないよ?危うく死ぬとこだったよ?」
『大丈夫、大丈夫。心配ない』
「はあ?その根拠のない自信なに⁉」
◇
結局いろいろなだめすかされて、そのまま探索を続ける事となった。ってかあんまり反抗してたら電流流してくるし。酷い、むちゃくちゃだ。こんなブラックな職場ってある?イン○ィードで見つけたのに?
おっぱいスライムを倒しながら探索を続けていると、奇妙な事が起こった。
倒した筈のおっぱいがムクっと立ち上がり、仲間になりたそうにこちらを見てきたのだ。
仲間にする◀
仲間にしない
おっぱいが仲間になった。
……なんだこれ?
そのままおっぱい仲間を増やし続け、僕はついにボスおっぱいを倒した。
その瞬間、世界が真っ白になり、気が付けば僕の前に小学生くらいの見た目の少女、ミラ教授が立ち、ニンマリと笑っていた。
「どうだった?フルダイブ型VRゲーム『パイオッハザード』は?お○○コくん?」
「……
ちくしょう、もうツッコまないつもりだったのに。
◇
「ねえ、教授。何でおっぱいだったんです?」
「そりゃ君、タイトルから思い付いたからさ?」
どう見ても小6くらいにしか見えないミラ教授がそう言ってニヤリと笑う。
銀色の髪を腰まで伸ばし、胸もお尻もペッタンコの幼児体型少女はこれでも僕より年上だ。因みに僕、
そしてこの見た目に反して天災科学者であるという恐ろしさよ。
天才、でなく、天災ね。
そう彼女、ミラ・ベックマンはマッドサイエンティストというヤツだ。
この現代にマッドサイエンティストなんてホントにいるのかと思うだろーが、案外ホントにいるもんなんだね。
彼女、ミラ教授はつい最近までとある組織で科学者として働いていたらしい。それが、その組織が解散してしまったため、このマッドサイエンティストが世に放たれてしまったのである。
以来、この狂気の科学者は自分の欲望のおも向くままにキチ○イじみた発明を繰り返し、結果、いつもこの僕が迷惑を被るという図式が出来上がってしまったのだった。
「それでどうだったかね?チ○コくん。オッパイの感触は?本物みたいだったろ?あ、そうか君はまだ本物を知らないのか。では比べる事などできないなぁ」
コイツ、僕がドーテーなのをまたネタにするつもりだな?マジで性格悪いな。
「あいにくと僕だってオッパイくらい揉んだ事ありますよ?さっきのはなかなかの再現度でした。教授こそ、自分のオッパイの感触と比べられないから難儀したんじゃないですか?ソレじゃ揉めないですからね」
と、僕は教授の清々しいまでの真っ平らな胸をチラ見する。
「ほう、君はいい度胸をしているな?」
と言いながら教授が手に持ったリモコンの様な物を見せてきた。
「なんすか?そ……いでででででででででてっ!‼」
「電気ショックは本物だったんだよ?チ○ポくんwww」
このクソロリが!いつか○してやるからな?いででででっ
「ん?なんだ、着信か?」
いや、スマホ覗いてる間に電気止めろよ⁉いでで
「もしもし?おや、また懐かしいヤツが連絡してきたなwww
やあピンク、元気だったかい?なに?ふむふむ……」
話し込むなよ⁉先に電気止めろ⁉いでででで
「喜べ、チ○コくん。今度は世界征服だ!」
はあ?バカなの?アホなの?つか電気とめろって‼
【優月ver】
さっきの黒服から仕入れた情報を小野さんに伝える為、僕は再び校内へ戻った。今僕は赤ジャージで、他の部活の子達と紛れてるハズなんだけど、流石に優月のままあんまりウロウロ出来ないんで、校舎裏手の自動販売機前で待つ事にした。小野さんは図書室からこちらに向かってくる途中だ。
ここには2台の自動販売機が並んでる。もし今日来た業者の人が犯人なら、ここでジュースを補充しつつ、どんな経路で更衣室に入ったんだろう?
いろいろ考えてたら後ろから小野さんに呼ばれた。
「お待たせ、水希くん。あれ?またそのジャージなんだね?」
「やあ、小野さん。この女の子の姿だと制服着れないしね。これしかなくて」
「今度、私の制服、貸そうか?」
「うーん、学校内でこの姿になる事あんまりないからなぁ。いる時になったら貸してくれる?」
「うん、いいよ」
「あ、それからこの女の子の時は水希じゃなくて、優月って呼んでくれるかな?」
「ゆづき?」
「うん、優しいに月で優月。男と女で分けたいから」
「うん、了解。優月ちゃん?」
うわあ、小野さんに優月ちゃんって呼ばれると、ゾクゾクってするなぁ。
『いいですねぇ。ワタシも彼女にポコちゃんって呼ばれたいです』
胸元からポコさんがそう呟いてくる。いや、ペットじゃないんだから。
チ○コの自覚持ってほしい。
◇
「だいたいこんな感じかな?小野さんはどう思う?」
僕は黒服からの情報を小野さんに伝え、意見を求めた。
「やっぱり私もその業者の人が怪しいと思う。更衣室に侵入したルートはね、……」
小野さんはざっと自分の推理を僕に聞かせてくれた。
「なるほど。それだと充分可能だよね。よし、それを明日生徒会の人たちに発表しよう」
これでホントにキタローくんへの疑惑が晴れるかな。
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