貢物

「さてと仕事終わった黒乃さん。」

「お疲れ様です。でお金はもらえましたか。」

そう5円玉を持ってニコニコする。

「しっかりと仕事ももらったよ。」

バチコンバチコン。前より凄く強くなっていた。

「ねえ雨寺様、どういうことですか。あれだけ値段あげろと言いましたよね。」

「はあ神様のお駄賃は5円て相場が決まってるだろう。」

「雨寺様、毘沙門天様は50円から上限がありません。弁財様なんて100円からです。なんでうちだけうちだけうう。賽銭箱も1日数円ですし。」

泣き出しそうな顔をする。おいずるいぞ。一応黒乃は女だし。泣かれると罪悪感が湧く。

「仕方ねえ、これでもみろ。」

俺はカタログを見せた。これでも頑張っているんだよ。黒乃に買ってあげたくて。頼むこれで機嫌なおれ。

「これあれですよね。このハガキに書いたやつが貰えるという。黒乃嬉しいです。」

はあなんとかなった感じがする。

「でも買ったんですよね。」

「………。さて寝るか。」

「借金したんですよね。」

「そうだけど何。」

バチコンバチコンバチコン。さらに痛くなってきた。神様なのに酷くないこの扱い。

「もう嫌借金神。マイナー神。阿呆神。」

「なんだとカタログ返せごら。酒たのむぞ。」

「嫌です。黒乃は貢物は死んでも離しません。」

なんだかんだ嬉しそうな黒乃でよかった。説教は御免だ。





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