Close Your Eyes

「あれ正門?」再び、校庭を見ていた響樹は目を疑った。 唐突に二人の男女が歩いてくる。


 その顔は見慣れたものであった。その二人組みは・・・・・・嵐子と緑川であった。


 不審者が侵入してきた事で、教職員が二人を制止しようと試みたが、容易く跳ね飛ばされ意識を失っていくのが見える。


 嵐子が右手を上げて、指をパチンと鳴らした。辺りの景色が少しずつ変化していく。

「また、結界か!?」


 響樹は席を立ちあがった。 その瞬間二人と視線が合ってしまう。 緑川の口元がいやらしく歪み、右手を校舎に振りかざした。


みんな、伏せろ!」響樹が叫ぶと教室の窓が一気に粉砕した。結界に突入する前に緑川の攻撃で教室は騒然となった。


「きゃー!」生徒達の声が響きわたる。

みんな、外に逃げるのよ!」シンディが生徒達に逃げるように誘導する。生徒達は頭を覆いながら教室から飛び出した。

突然の爆発音に生徒達は混乱している様子であった。


 響樹も一緒に教室を飛び出そうとする。

「Do not go !」シンディが響樹の腕を掴む。

教室の中も結界の効果が現れたようである。周りの様子は一変した。


「えっ?」

「Hibiki. Close Your Eyes」シンディは響樹の体を壁に押し付けて、彼の前髪に手櫛を差し込みながら囁く。


「なにっ?」突然のことでシンディの言葉の意味が判らなかった。

「響樹、・・・・・・・瞳を閉じて」シンディは優しく微笑んだ。

 響樹は躊躇したが、彼女の言葉に従い目を閉じた。

 彼の唇に柔らかく、甘い物体が触れる。 響樹は驚きで目を見開いた。

 シンディの顔が究極の至近距離にあり、その唇が優しく響樹の唇に重ねられていた。それは、大人の口づけであった。


 次の瞬間、二人の体が砕け散り宙に溶けた。






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