introduction8

 やあ、あんたか。

 相変わらず顔色がいいじゃないか。調子が良さそうでなによりだよ。

 ん?・・ああ、読んだ、読んだよ。あんたのコラム。あんなもんが手軽にネットで読めるとは、世も末だぜまったく。

 おっと、もう俺に掴みかかるなよ。この位置は監視カメラの死角じゃない。記録を見せればあんたは二度とここへ入れなくなるからな。

 感想?・・・いいだろう。俺の感想を聞かせてやろう。

 まったくなっちゃいねえ。あんなもんはその辺のアホが暇つぶしに面白がって書いた駄文だよ。あんたは奴らの事を何にもわかっちゃいねえ。

 ・・・何だそのツラ。俺はな、長い間ここで奴らの事を見てきたんだ。奴らの事は誰よりも俺が知ってる。

 その俺が言うんだ。あんなコラムは読む価値がねえ。

 ・・・貴重なご意見ありがとうございますって顔か、それは。

 感想が直に聞けてよかったろ。ほら、さっさとサインしろ。悔しかったら、もっと奴らの内面に踏み込んでみることだな。

 それで、今日はどいつにするんだ。

 ・・・あ?一番奥の部屋の奴?

 最初に言っただろうが。あいつはダメだ。やるとしても、一番最後にしろ。ガタガタ言うな。とにかく、あいつだけは最後の最後だ。

 ほら、代わりにこいつにでもしておけ。こいつはまともに会話が出来るからな。深入りするにはやりやすい方だろう。

 もっとも、あんたにその度胸と覚悟があればの話だがな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る