俺たちに明日はない

 明日は早番なので、携帯のタイマーを七時半にセットした。

 

 もうそろそろ寝ないと、寝不足になってしまう。

 

 布団にもぐり、電気を消した。

 

 すると、カタカタポリポリ音がし始めた。

 

 いつものことだ。

 

 ペットのスナネズミ達が、夜になったと勘違いして活動を始めたのだ。

 

 飼い主の都合など知ったことではない。

 

 無駄だと思ったが、声をかけてみた。


「明日、早いんだ。騒ぐのは明日にしてくれないか?」


 一瞬静まり返ったが、またすぐにカタカタポリポリし始めた。


 その音はまるで、


『俺たちは全力で今を生きる。俺たちに明日は無い』


 と言っているようだった。


 そう、彼らにスケジュールなんて存在しない。


 ただ、今やるべき事を必死にやっているだけなのだ。


 俺は一度息を吐くと、頭まで布団を被った。


 俺も、俺にできることをやるだけだ。

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