第16話 相談in電話
勉強会をやった日の夜。そういえば自分の勉強をやってないと気付き机に向かい暫くすると電話が鳴る。
「電話? あ、スズからね。分からない問題でもあったのかしら?」
電話に出ると私が何か言うより前にスズの声が聞こえた。
「ユキさん‼︎ 私はどうしたら良いんでしょう⁉︎」
予想外の大声で耳がキーンとなった。電話を反対の耳に移してから話し始める。
「えっと、なんの話?」
「あ、ごめんなさい。モモのことで……」
スズはモモが嘘だと言ったことは嘘ではないであろうという事、モモのために何かしたいがどうすれば良いか分からないという事、それについての相談のために私に電話したという事を説明してくれた。第一声から感情任せの印象を受けたけど説明は分かりやすかった。分かりやすかったのだが……こればっかりはどうしようもないだろう。
「スズがどうにかしたいっていうのは分かった。でもモモが今まで一度もそんなこと言ってなかったんでしょ? だったらモモはスズにそのことを隠してるのかもしれない。もしそうだとしたらスズがやろうとしてることは、お節介ってことになるの。そこまでは分かるわよね?」
「……はい」
思いっきり不服そうね。
「それでも、モモにお節介って思われても良いんなら一個だけ、思いつく方法があるわ」
「その方法とは⁉︎」
スズはモモのこととなるとグイグイくるわね。これがもしモモじゃなくて私だったら、スズはここまで何かしようって思ってくれるのかしら? ……っていけない。今は相談されてるんだししっかり答えなきゃ。
「えっとね、モモに電話して、今日のアレは嘘でしょ? って聞いてみるの。一回だけね。それで嘘って言われたらそれ以上は手を出して良いところじゃない。でも、モモがどうにかして欲しいって思ってるのならちゃんと話してくれるはずよ」
「そう、ですね」
この返事。もっとグイグイ行くことを後押しして欲しかったって感じかしら?
「それすごく良いと思います。実際私に何ができて、何をどこまですれば良いのか分からなかったので、助かりました」
「そう。よかったわ」
「ユキさんに相談して正解でした。ありがとうございます。それでは」
私が何か言う前に電話は切れてしまった。
切れてしまったのだけど。
私に相談して正解だったって言ってた。つまり頼りにされてるっていう証拠。ちょっと嬉しい。
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