第13話-B面 時任秋良は質問する。

 気がついたら寝ていました。

 布団から顔を出すとレーコさんと目が合いました。

「お、おはようございます」

「結構な身分だなアキラよぉ」

「ひいっ」

「何様だオマエは。ただの居候がよ」

「……なんでそんなに怒ってるんですか?」

「テメーで考えろ!」

 更に怒らせてしまいました。



「あの、レーコさん」

「あんだよ?」

「僕が海外に引っ越した場合、レーコさんはどうなりますか?」

「ああん?」

 レーコさんは眉根を寄せて、

「ソレは、アキラが今後どーするかの判断に必要ことなのか?」

「はい」

「しゃーねーなあ。イチイチ手間のかかるヤツだな」

 レーコさんは頭をガリガリと掻き文句を言いながら、ポケットからスマホを取り出しました。

 スマホ? 使えるんですか?

「ちっっと待ってろ。師匠ジジイに聞いてみる」

 使えるみたいですね……。

「ちっす師匠ししょう。ちょいと聞きたいことがあんだけどよ? ああ、うん。まあその辺は大丈夫だよ。あーはいはい! ちゃんとやってるって! ――だーかーらー質問があるんだっつーの! うん、そうそうシゴトの話だよ。でな、俺の憑いてるアキラが海外に行った場合って、アタシはどうなるんだ? へー……、ふーん。なるほどね。って、待て待てそれは駄目だろ。……まあ疫病神的には正しいのかもしんねーけどよ。まあ、大体わかった。んじゃな」

 通話を終えたレーコさんは神妙な表情で教えてくれました。

「結論だけ言うとな、アタシは海外には行けねー。日本の神だからな。海外じゃあ霊体がもたないっぽいわ。海外の神さんが日本に来るのは割と緩いみたいなんだけどな」

「そういうものなんですか?」

「八百万の神々が居わす日本は異国の神様にも寛容、らしーぞ」

「なるほど」

 そういうものですか。


「で、このことがオマエの判断材料になるのか?」

「はい」

 僕が頷くと、レーコさんは「まあいっか」と言いました。

「そんなことよりとりあえずメシ食え。折角エミが用意してくれてんだろ。食いモン粗末にすんじゃねえ」

「えっと……」

「あ? 自分で食うのとアタシに無理矢理口にねじ込まれるのとどっちがいい?」

「レーコさんが食べさせてくれるんですか?」

「なんか言ったか?」

 睨まないでください。

「何でもないです。自分で食べます」

「よし食え。しっかり食え」

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