第3話「深夜のこと」

第3話‐A面 三波笑美は眠れない。

 アキラちゃんを家に招いてからずっと落ち着かなかった。

 晩御飯を食べてる時も、お風呂に入っている時も、もう寝ようと思ってベッドに入ってからも。


 アキラちゃんのことばかり考えてる。


 晩御飯の時はお兄ちゃんばっかりアキラちゃんとお話して、私は全然喋れなかったし、その後アキラちゃんはすぐにお風呂に入って部屋に行っちゃうし。


 もう寝てるかな。

 今日、大変だったよね。火事とか。なんで放火なんてする人がいるんだろう。

 それでなくても始業式でアキラちゃん緊張してたし。

 そっとしておいてあげるべきなんだろうなあ。


 それはわかってる。

 わかってるけど。


「あーもー……」


 駄目。

 全然駄目。

 私、自分のことしか考えてない。

 顔見たいとか、話がしたいとか。

 そんなの今日じゃなくてもいいのに。


「あーあ」

 

 最悪。

 自己中。

 自己嫌悪。


 でも。


 堂々巡りの思考。

 全く眠れる気がしない。



 気が付けば私はベッドから這い出していた。

 そろりそろりと部屋を出て、お兄ちゃんの部屋、つまりアキラちゃんの部屋の前で立ち止まった――

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