作品名：ハードボイルド・リビングデッド

作者名：狐

性癖：近未来、価値観の衝突、取り残された者、ハードボイルドになりきれない男

作品ＵＲＬ：https://kakuyomu.jp/works/1177354054895370079

　古い価値観に取り残された男と、それを監視する若者のお話。

　時代が変わっても自分を変えられない不器用な男の『取り残された者』という性癖が、『価値観の衝突』という性癖によって、『ハードボイルドになりきれない男』達という性癖に繋がる、『近未来』な性癖のSF。いいですね。全編に渡って俺はこれが好きなんだ！というのが溢れてます。

　現代の若者が嫌がる様な昭和のやり方を未だ続ける中年ってまだまだ居ますが、その人達もこの作品の人物みたいに変われないだけなのかもしれない。銃によって強さの価値観が変わった様に、現代もスマホやSNSによって強さの価値観が変わっているのでしょう。単にSFなだけでなく、今の世の中を現した作品でもあると思います。数年後でも近未来だしね。

　取り残された男も、監視する男も、施設長も、ドクターも、全員が自分の価値観に正しく生きているだけで悪人ではないし、全員が前に進んで行こうとしているんですよ。でも、取り残された男だけは進めない。『取り残された男』なのだから。

　この部分が凄く性癖ポイント。人によってはこれをおかずにご飯食べれる。

　途中から泣きながら読みましたし、とても性癖力が高くて素晴らしい作品でした。狐さんは自分と性癖が近いですね。