仮想の桜花/深恵 遊子

作品名:仮想の桜花

作者名:深恵 遊子

性癖:サイバーパンク、別れの間際にヒロインは本当はそこにいたんだと気づくこと、並行世界

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054895058561


 電脳界に入って戦う主人公が電脳界のカルト教団と戦う話。

 電脳世界というだけで個人的に大好物なんですが、情報を書き換えながら戦うのを可視化する為に銃撃戦をするとか、超常現象の様な物も人が理解できるように落とし込んでいるだけとか、電脳世界で再現されたアカシックレコードとか、SF好きだけじゃなくてファンタジー好きもめちゃくちゃ楽しめる作品。

他にも『人はそれをバイオグラフィーが直線を描く、すなわちフラットラインと呼ぶ』とかの独特のセンスある言葉使いが良くてSF小説としてのレベルが高いです。

 全体に漂うサイバーパンクの臭いと中盤から終盤に向けてのヒロインの演出の部分がとても性癖力を感じる部分で強がっている消えれど情けない主人公と、死してもそれを助けるお節介なヒロインの関係が本当に良かったです。こういう無くなってから気付く大切な物の存在っていいですよね。覚悟をキメた女の子も良い。

 ただ、性癖の三つ目に書かれている『並行世界』の部分だけが上手く読み取れなかったです。電脳世界その物が現実世界から干渉可能な並行世界の一つという事でしょうか?それともエスの向こう側が並行世界で根源を通じて電脳世界に干渉してきているとか?

 『サイバーパンク』と『別れの間際にヒロインは本当はそこにいたんだと気づくこと』はとても分かりやすく伝わってきていたので、この部分だけが惜しいという感じでした。

 もしかしたら自分の解釈の仕方が悪いのかもしれない…

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