死に往く貴方に接吻を/アリクイ

作品名:死に往く貴方に接吻を

作者名:アリクイ

性癖:互いに想いが通じ合っていてもなお報われることのない恋、魔物

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054894758686


 愛する人でありながら執政者でもある相手から『自分と民の為に捨て奸になれ』と命じられた魔物と、それを命じなければいけなかった執政者の一夜の切り取り。

 ここに至るまでに様々なやりとりがあり、ドラマがあり、絆があり、関係があったんでしょうけど、その上で下される『死んでくれ』という命令。

 言う方も辛いですけど、言われる方も言う方が辛いのが分かっているからこそ、普段と同じ様に振舞い、落ち着いた様子で彼女と会話する。

 愛ですね。結ばれてはいけないとお互いに自信を制してしまっていて、たった一枚だけど物凄く分厚い理性の壁で仕切られている愛です。

 身分の違いも立場の違いの体の作りの違いもそんなの全部無視して二人で逃げればいいのに、両者とも優しい善良な存在で不器用だからそれが出来ない。

 きっと、そうしてしまえば楽だとは二人とも分かっているんでしょうが、それをするとお互いにお互いを許せなくなるんでしょうね。もっと愚か者同士だったなら良かったのに、お利口さんすぎるんですよ君達は。

 良かったです。とても良い性癖力でした。

 そして片方が人間態っぽいのに、もう片方が魔力の塊で鎧を動かしているだけの存在というのも性癖力が高い。最後のアレはもう実質セッセセでしょセッセセ。すけべすぎる。

 短いながらも良い性癖小説でした。

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