13枚目 いねむりおじいちゃん
「私が残っちゃったわね。」
「サトちゃんもいいのを選んでもらえるといいね!」
「相変わらずここのコーヒーはうまいぞ。サトもはやくゆっくりしようじゃないか。」
「ワールドミュージックとジャズが好きなんですけれど、うまいこと両方を満たす盤ってないでしょうか。」
おじいちゃんは立ったまま寝ていたけれど、サトちゃんが話しかけて目を覚ます。
「ンあ!?寝ておらんぞ!聞いてたぞ!あれじゃな、なんかジャズとか聞こえた。わかっておるわかっておる!」
「大丈夫か?このじじい。」
「おぬしにはこれじゃな。エチオピアのヴィブラフォン奏者、作曲家のMulatu Astatkeのコンピレーション"Ethiopiques 4: Ethio Jazz & Musique Instrumentale, 1969-1974"じゃ。ワールドミュージックを中心に取り上げるフランスのレーベル
Buda Musiqueが企画したEthiopiquesシリーズからの一枚じゃ。」
「エチオピア!想像がつかないわ。」
「Mulatu Astatkeはジャズやラテン音楽の要素をエチオピア音楽の音階と組み合わせたエチオ・ジャズの生みの親じゃ。彼のアルバムはラテンやジャズの要素が強い物が多いが、このコンピレーションはエチオピア感が特に強く出ている楽曲が集められている。」
「面白そうだわ!頂きますね!」
サトもコーヒーを注文して早速店内で流してみる。
「一曲目からホーン隊のメロディーに凄い異国感があるよ!」
「これは面白いわね!クセになりそう!」
「結構ファンキーだしこりゃ踊れるぜ!」
「このアルバムからの1曲目"Yèkèrmo Sèw"、5曲目"Yègellé Tezeta"、7曲目"Gubèlyé"はジム・ジャームッシュの映画"ブロークン・フラワーズ"でも使われておるぞ。」
「あ、あの車の場面かな。あたしが観たの随分前だからおぼろげだが。」
こうやって同じ場所なのに音楽によって風景が違って見えるのは、とても面白いと思うのです。みんないい盤を教えてもらえてよかったな。
☆ ☆ ☆
Mulatu Astatke - Ethiopiques 4: Ethio Jazz & Musique Instrumentale 1969-1974 - 1998
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