8枚目 帰宅しました

「ただいまぁ~。」


「おかえりなさい、きょうも遅かったわね~。」


「うん~、友達と寄り道してきたの。」


「宿題とか大丈夫なの?」


「お風呂入ってからやる~。」


「寝ちゃわないでよ。」


 鞄を部屋に置いて、着替えを持ってお風呂場に向かおうとしたら、お姉ちゃんの部屋から古そうな音だけれどキラキラして楽しそうな音楽が流れてくる。


「お姉ちゃん帰ってきてたんだ。」


「お、不良娘が帰ってきたな。私は今日は外回りからの直帰だったから早かったんだよ。またなんか買ったの?」


「うんThe Clienteleってやつ。」


「イイの買ったわね~。」


「お姉ちゃんは何聴いてるの?」


「ああ、The Stone Rosesよ。1stアルバムの"The Stone Roses"。」


「The Stone Rosesってあの、マッドチェスターの。」


「そう。」


「アクション・ペインティング風のアートワークの。」


「そうよ。」


「うわー、有名なやつだ!聴いたことなかった。いつでも聴けそうだから後回しにしてた。」


「バカモノ!ちゃんと聴け!名盤を恐れるな!名盤は名盤足り得る理由がある!しっかりと聴いて耳を養うのだ!」


「お姉ちゃんのいつもの口癖だ……。初めて聴いたけどイイね、この"Made Of Stone"って曲キラキラしてて、サイケデリックだけど踊れる。ドラムマシンみたいに正確なドラムだぁ。あ、この"I Am The Resurrection"って曲、途中の展開からダンスミュージックみたいになってすごい!かっこいい~!」


「レニとマニのリズム隊は本当に凄いんだぞ。判ってんのか!」


「うん、わかる気がする~。」


「よし!今日は私のシャンプーとかボディソープとか使ってもいいぞ!」


「やった~!」


 私は小躍りしながら姉の部屋を後にする。お姉ちゃんの基礎化粧品は高くていい匂いのものばかりだから楽しみだ。


☆ ☆ ☆


The Stone Roses - The Stone Roses - 1989

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