第5話 謁見

ドアの外で怒鳴り声がする。

「余に挨拶に出向けとは何様だ!」

あんたらが呼び出した聖女様だろ。

よく聞こえないけど、何人かのなだめる声もする。

ダメ王っぽいなー

だから聖女召喚とかしたのかなー、来たのはただのおばちゃんだけど。

ノックされる。

「どなたー?」

「エーリーズです」

おや?

「お帰りー」

ドアを開けると、正面に顔を赤くして額に青筋の男。その後ろにエーリーズが。分かっちゃいるけど一応。

「どちらさん?」

顔が赤黒くなる男。あわあわと周りの者達が告げる。

「国王陛下でございます!」

「…あぁ、国王陛下」

告げられた身分を繰り返す。赤黒い顔がどす黒くなる。

「あぁあのっ、中へご案内してもっ」

エーリーズがかわいそうなので、入り口から退く。

国王陛下、ふんぞり返って入って来ましたよ。

すすめられもしないうちに、ソファーへどすんと座りましたよ。

いきなり暴力振るわないだけ、マシなのかな。


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