第4話



「じーちゃん、何でこんな遠くに来ようと思ったの?」


俺が何気なく聞くと、じーちゃんはなんだか答えに困ったような恥ずかしいような表情をしていた。


「何て言うかなぁ…。」


じーちゃんは本当に返答に困っているようだった。


「いいよ、ここ景色も最高だし、ほんといいとこだよね。」


何か事情があるのかもしれない、じーちゃんを困らせてはいけないと話をそらそうとしたとき、じーちゃんは唐突に言ってきた。


「乃海、おまえは好きな子はいるのか?」


「えっ?いきなりだね。」


「なんだ…、高2にもなって好きな子もいないのか!」


「悪いかよ…。まだ付き合いたいとか、そんな気持ちになる相手に巡り合ってないだけだよ。」


じーちゃんは、つまらんヤツじゃのう! とでも言いたいような顔をして俺を見ていた。


そして、溜息を一つついて、ゆっくりと話しだした。

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