第2話 母さん

はぁ、緊張する。……どんな人が僕の母親になるんだろうか。


父さんから再婚すると言われてから、引っ越しをして一軒家に住むようになりなんだかんだ八月の中旬。


顔合わせとかがあるのかなっと思ったけどどうやらあちらの都合でできないらしい。


今日から僕に新しい家族ができる。......。


「大丈夫だ。冴香さんはいい人だから」

「緊張するものは、緊張するんだよ」

「あ、あと言うの忘れていたけどあっちには姉妹がいるからまぁ、距離感を大事にすること

「距離感......?」


距離感。僕は女子が苦手というわけではない。仲良くなるために距離感をいい具合に測れという意味合いだろうか。


「えっと......まぁ。俺の口からは何も言わないけど。こっちから詮索しようとするのは止めろ。その時が来るかもしれないから」

「はぁ?はぁー?」


何を?僕の頭は疑問でいっぱいで、いつの間にか緊張がどこかに飛んでいたが、インターホンの音でまた緊張が戻ってきた。


ふぅ。ふぅーーーー。


玄関まで行き、ドアを父さんが開ける。


すると、入ってきたのはおっとりした女性と、何故かこっちを睨むきれいな姉妹だった。


「ほら、結人、挨拶しなさい」

「えっと、新條結人です。よろしくお願いします」

「よろしくね、結人君。私は嵩嶺かさみね......今日から新條だね。新條冴香です」

「あ、はい。よろしくお願いします」


良かった。優しそうな人で。今日からこの人がお母さんか。


「ほら、凛、明音、挨拶をしなさい」


後ろからこちらを睨むような視線を向ける姉妹。


「…嵩嶺かさみね凛」

嵩嶺かさみね明音」

「よ、よろしくお願いします」


父さんが言ってたのはこのことか。


それから、リビングに行き挨拶やら今後のことなど話あって夕飯まで自由時間となった。


僕は、少し緊張が解け、ここ最近緊張してみが入らなかった勉強をするため部屋に戻ろうとすると......


「ねえ、新條君」

「えっと、はい」


振り返ると、姉妹がいた。どちらもやはり僕を警戒している。そして、さらっとこんんあ事を言ってくる。


「挨拶は済みましたし、金輪際近づかないでくれますか」

「......は?」

「さよなら」


何を言っているんだろうか。今日から家族だっていうのに。


「あと、お母さんに近づかないで」

「え?」


そうして、言いたい事だけ言って、二人は自分の部屋に戻ってしまう。


......僕、なにかやったっけ?


自室に戻り、勉強をしようと机に向かうも全く集中できず、これからの事、あの言葉の意味、冴香さんとあの二人には何があったのだろうか。


そんな疑問が頭を回り続けそれどころではなくなってしまう。


「どうすればいいのかなぁ、これから」


そんな言葉がふと口から出てしまうくらいには手詰まりな気がする。父さんはこっちからは詮索するなと言われているし、する気もない。


向こうには向こうの事情があるし、それを無理やり聞いたところで意味はない。


はぁ、ほんとにどうしよ。考えれば考えるほどドツボにはまっていく。


それから、五時になりいつも通り一階に行き夜ご飯の準備をする。


「今日は何を作ろうかな」


冷蔵庫の中に確か、カレーを作れる具材が一式揃っていたような気がする。冷蔵庫に手をかけたとき、


「結人、今日は外食にするから飯はつくらなくていいよ」

「分かった」

「結人君、料理できるの?」


冴香さんに質問をされ、たどたどしくも答える。


「えっと、はい。家にほとんど父さんが帰ってこないし、出来ないので、代わりに僕が大体の家事はできるようになりました」

「お前、痛いところつくなぁ」

「大丈夫だよ、分かってるから」

「……あぁ」


なんだろう、父さんといい雰囲気になっている気がする。......気持ちわる。


「仲いいね。それに......結人君は偉いね」

「え、あ......ありがとうございます」


にっこり微笑み褒めてくれるを冴香さん。......母さんか。











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る