第8話 依頼と仲間探し

翌日、俺は早めに起きる。

店で買った朝食を食べ、考える。


仕事を貰うとしても最初は低いランクからやっていくことだろう。

ウインドウを呼び出し、ランクを確認する。


・Fランク

新人冒険者。依頼は弱いモンスター狩りか薬草採取しか行えない。

・Eランク

駆け出しの冒険者のランク。少し強いモンスター討伐が可能となり、収入はまぁまぁである。

・Dランク

一般の冒険者のランク。収入が良くなり、大抵の冒険者はこのランクに達している。

・Ⅽランク

少し上のランク。このランクまで到達すると、Ⅾランク以下の魔物は軽く蹴散らせる。

・Bランク、Aランク

もはや国民的英雄のランク。かなりの手練れの連中が集まるランクで、大型の魔物を討伐する依頼などに駆り出されるほどのものである。

・Sランク

勇者クラスの階級。これ以上のランクが存在するのなら、その者は神に近いだろう。

・SSランク

未だ誰も到達していないランク。もはや生ける伝説となるだろう。


ふむ、ランクは全部八つ。最後のランクは誰も到達してないと来た。

ゲーマーならさぞ目指しに行くだろうな。


確認を終えた後、ティアが起きる。

大きな欠伸をした後、目を擦るその様は人間だな。


「おはよう、にぃに」


「ああ、おはよう」





準備を済ませた後、すぐ冒険者ギルドに行き、依頼のある掲示板を見る。

俺とティアのランクはFだ。薬草採取と弱いモンスター討伐しかできない。


見ている時、目に留まった依頼があった。


『薬草採取 レピア草を採取せよ。報酬一本に付き200アピア』


これが良いな。

俺は紙を引きはがし、受付に渡す。


「薬草採取ですか……無難ですね」


「セピア草って何なんだ?」


受付の女性が説明してくれる。セピア草は回復薬の材料の一つで、現在不足中な事だ。ケガする人が多いため、たくさん採ってきてもらう事が依頼の目標だ。


なら10本取ってくれば2000。実に効率のいい仕事だ。よし、やろう。


「それじゃあ行ってくる」


「あ、お待ちください」


ん?止められた?何か用があるのか?


「レンジさんにはこれを渡すように言われてるので、受け取ってください」


受付の女性は俺に4枚のギルドカードを渡す。まだ名も職業も記入されてない。

ほぼ未記入のカードだ。


「あなたほどのテイマーなら、他にも魔物を仲間にすると思ってオートギルダーカードを差し上げます」


オートギルダーカード?何だそれは?

ウインドウを開いて確認する。


オートギルダーカード

テイマーが所持しているカード。他の魔物をテイムしている場合、その魔物が冒険者になりたいと言った時の応急処置のカード。

このカードを持たせることで、仲間にした魔物をすぐに冒険者にできる。1枚1体まで。またこのカードの効力で冒険者になった仲間の魔物のランクはテイマーの冒険者のランク以下のランクになる(Fだった場合、同じランクになる)

尚、使用した場合、その冒険者の情報は冒険者ギルドにすぐ報告される。


おお!これは便利なカードだな。二人だけじゃ戦力不足だったから、仲間になったら早速使おう。ただ4枚しかないからな、仲間モンスターは厳選するしかないか。


「ありがとう。行ってくる」


「はい!行ってらっしゃい!」


俺達はギルドの扉を開け、早速依頼に取り組んだ。


その数分後……


再びギルドの扉が開かれる。


「ただいま」


受付の女性は驚いた表情で「早っ!」と大きな声で言った。


「ま…まさか、依頼失敗ですか!?」


「いや、成功したぞ。きちんと森の中でセピア草を500本、採取してきた」


ストレージから大きな袋を取り出し、床に置く。


それを見たギルド内の職員と他の冒険者達は目を丸くする。


「全部採取してきたものだ。不安なら鑑定してくれ」


一応、森の一部はティアが把握しきっていたからそこから持ってきただけだ。

後は鑑定に頼って採取をしていたが、予想以上に早く取れてしまった。


「は…はぁ」







「結構儲かったね、にぃに」


「そうだな。後一つの依頼を終わらせれば晴れて昇格だ」


ティアは「よーし、頑張るぞー!」とやる気を出す。

元気がある妹は嫌いじゃない。


しばらくして、森の中。

俺は手数を増やす事を計画していた。そう、仲間が必要だ。


「そこで、だ。手ごろな魔物がいないか探すぞ」


「はーい!」


川から岩場までくまなく探索し、魔物を探す。

バスターウルフは完全に犬だ。大きくもないし、乗り物にはできない。

さてどうしたものか……。


困っていた時、何かが上から落っこちて、草むらに落下する音が聞こえた。


「ん?」


「何かいるね」


山賊達の報復か?まさか親玉がここに迫ってる?

なら戦闘態勢に入らなければならないな。


武器を構える。しかし襲ってくる気配がない。


「……見てくる?」


「ああ、頼む」


先行してティアが草むらに入る。落下したところを探索したティアがすぐに俺を呼んだ。


「にぃに、とても珍しい魔物がいたよ」


珍しい魔物?RPGならメタル系の魔物とか何かか?取りあえず見に行こう。

ティアの合図で見つけた場所に入り、その魔物を目にする。


「これは……」


俺が見たのは金髪ショートで背中に白い羽のようなものが生えた少女だった。

これは何だ?

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