創作活動を始めて早幾年の骨董品が、ざっくりと創作について語ってみた

和泉茉樹

第1話 創作論を書くにあたって

 創作論を書こう、と思ったきっかけは、これは共有するべきかもしれない、という経験があったからで、あまり大それた野望や願望はありません。

 まず僕が実年齢を明かさなくてはいけないのですが、恥ずかしいので、三十代、としておきます。

 次に環境としては、高校生の時から家にパソコンがあり、自由に使えたことと、毎週末に近くの書店(それほど大規模ではない)に家族で繰り出すほどには、異常な読書狂の家族の中にいたこと、そしてその家族が、漫画以外の本だったら大抵、なんでも買ってくれたことを挙げておくべきでしょう。そして、これも大きな要素ですが、僕は地方に住んでいて、大学生になる時に八王子の外れの大学に行きましたが、それまでは例えば、テレビで観れるアニメがテレビ局の関係で放送されないがためにそもそもアニメ鑑賞は限定されていたし、映画館も地元には一、二軒しかない、しかもスクリーンは一枚、みたいな具合でした。これはあまり意味がないかもしれないけど、我が家では最初、テレビが一台しかなく、二台目のテレビが来る十代前半までは僕はNHK以外の局はほとんど何も見れなかった。日曜日の朝の特撮はたまに見ていたけど、アニメは、親に頼んで「ドラゴンボールZ」をたまに見た、という具合でした。

 しかしそういう環境が、果たして今の若い人、十代の人たちと比べて、有利だったか不利だったかは、よくわからない。この後に書いていく中で、絶対に触れなくてはいけない要素として、インプット、他人の創作を受け取る、という面では、全くのゼロではなかったけれど、百でも十でもなかった、というレベルです。僕が十代の頃は、インターネットはありましたが、ツイッターもYouTubeもなかったし、ニコニコ動画でさえ、走り出したくらいでした。今の十代の人は、どこに住んでいても、アニメは自由に見れるし、映画もパソコンやタブレット、スマホでチェックしようと思えばできる。本も、書店へ行かずに、電子書籍を買えばいいかもしれない。とにかく、この十五年ほどで、環境が激変している面もあって、そこではあるいは僕の創作論は明らかな時代遅れかもしれない。まぁ、それでも構わないかな、と、ラフな気持ちで書いていきます。

 僕が文章を書き始めたのは、十五年ほど前で、きっかけは本当に些細なことだったと記憶しています。回りくどいですが、しばしお付き合いを。

 学校の宿題で、興味のあることでレポートを書く、というものがありました。当時は地方に住んでいても、テレビ東京が流れていたのでアニメを見ていて、それで、じゃあ、何か、アニメについて調べるか、と、書店で雑誌「New-type」を買った。これはほとんど親への方便で、学校で使うという形だけで、単に気になっていて買ってもらったわけだけど、ここで二つの出会いがありました。一つは、永野護さんの漫画「ファイブスター物語」で、こちらは創作論にはあまり関係ありませんが、今でも特別な作品です。もう一つの出会いが、イラストレーターさんの絵の描き方を解説する見開き二ページのコーナーで、THORES柴本さんの描き方、技法が解説されていたこと。その時の絵は、吉田直さんの小説「トリニティ・ブラッド」のイラストだった。はっきり言って、これが衝撃だった。THORES柴本さんの絵が綺麗すぎた。で、すぐに本屋で、「トリニティ・ブラッド」を買うわけです。読めば、こんな小説があるのか、と初めてのライトノベルに興奮し、そこから僕はライトノベルに沈んでいくことになりました。そこからもう休刊になりましたが雑誌「ザ・スニーカー」にたどり着いたりして、すると安井健太郎さんの「ラグナロク」や三雲岳斗さんの「ランブル・フィッシュ」にぶつかって、特に「ランブル・フィッシュ」はロボットがかっこよすぎて、一番初めに、手書きでメモに書きなぐった物語は、ロボットが出てくる話でした。そう、中学生の時ですね。こうして、僕は文章を書き始める、というわけです。

 さて、自分語りは少しこれからも続きますが、とにかく、創作について、書いていきましょう。しかし紙面も尽きたので、続きは次回です。いや、紙面なんてないんですけどね。昔のライトノベルのあらすじで「紙面も尽きたので」みたいな表現があって、憧れたなぁ。



オススメ曲

あいみょん「君はロックを聴かない」

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