百合の日SS〈三日月 詩音〉


百合の日はとうに終わってしまいましたが、告知していた通り奏編の続きで詩音編です。祈織編はまた後日です。少々お待ちください。


前話と同じように性描写があります。そして恐らく今まで登場した描写の中でいちばん過激だと思われるので苦手な方は気をつけていただけると幸いです。


また、人によってはお話の内容というか展開に解釈違いがあるかもしれません。完全に私の性癖が求めるままに書きました。後悔はしてません。自分が一番読みたいお話を自分で供給できるなんて最高ですよ。


では、どうぞ。


─────────────────────


私達が白椿学園を卒業してから多くの月日が経ち、何度も同じように四季が巡る中、日本で戸籍上の同性結婚が法的に認められた。


日本での同性結婚が認められるようになるまで時間がかかったような、思ったよりも唐突で早かったような…あまりこの感覚を上手く伝えることは出来そうにない。


でも、1つだけはっきりとしていることがある。


それは───


◆◇◆


「おはよっ、春乃ちゃん!」


「おはよう、詩音。今日も元気だねぇ」


「んふふ、春乃ちゃんは今日も可愛いね〜!」


「はいはい。いいから着替えてきて…その格好は目に毒だから」


「えっちな気持ちになっちゃう?」


「……はぁ。ほら早く。朝ごはんにするよ」


「は〜い」


ここは都内のとある広々とした家。私と春乃ちゃんが2人暮しをする愛の巣。


白椿学園を卒業して早数年。私達は同じ大学に進み、私からの猛烈なアピールで何とか春乃ちゃんから交際OKの返事を貰ったあと、2人でそのまま都内に上京して暮らし始めたのだ。


ちなみに私達の仕事はここ数年で大きくその存在が知られるようになったYouTuber。私と春乃ちゃんは2人組の動画配信者『Lily』として活動している。


今でこそ職業の1つとして認識され比較的安定した収入も得られてはいるが、始めたばかりの当初はそれはもう大変だった。


そもそも同性婚が法的に認められたとはいえ当時の世間からしたらまだまだ少数派、加えて先行きの見通しが難しいYouTuberという仕事。親から認めてもらうのにどれほど苦労したかは詳しく語らなくても分かるだろう。


何気ない日常の一コマが流れていく度に、私はこのことを思い出し、辛く苦しかった時間も、共に歩んだ幸福な時間も思い出す。


「まだ〜?」という春乃ちゃんの声が聞こえてきて思い出を振り返り始めていた私の心が引き戻される。


早く春乃ちゃんと朝ごはんを食べたい。私はベビードールから部屋着にさっさと着替えてリビングに移動した。


それからの私達は忙しく動き回る。


ご飯を食べたら掃除洗濯といった一通りの家事を簡単に済ませ『Lily』として所属している事務所に行って打ち合わせをしたり、実際に企画に則って撮影をしてそれを編集。


事務所に行くのは変則的なスケジュールだが、基本的な生活ルーティーンはこんな感じだ。


ほとんどの時間に動画関係の予定が埋まっていて、それを元に私達はYouTuberとして金銭を得ている。


毎日とても忙しくて時には重労働だが日々楽しく過ごしていられ、見てくれる視聴者にも感謝しているし、支えてくれる事務所、案件の提案をしてくれる企業…色んな人に助けられて私達は暮らしている。


でも、やっぱりそれでも私達にとって1番大事なのは他の全てを忘れて2人だけのことを考えていられる時間だ。


恋人のように、甘酸っぱいデートがしたい。


家族として、暖かくて愛のある家庭にしたい。


愛し愛される人として、一番大切な存在でいたい。


お互いの欲が赴くままに、淫らに求め合いたい。


編集済みの動画のストックもかなり溜まった。今日の夜から数日、その間だけは本当の本当に、私と春乃ちゃんだけの時間だ。


♡♥♡


「好き…好き、好き!好き!!詩音…もっとぉ…」


はぁ…本当に、春乃ちゃんは…。


普段、私は春乃ちゃんや他の周りの人によく小悪魔だと言われる。それはそう見えるようにしている部分もあるし、春乃ちゃんの前では積極的にそうあろうともしている。


大好きな人が私の一挙手一投足で顔を真っ赤にするのはとてもゾクゾクしてきゅんきゅんするからだ。


でも、私から言わせてもらえば本当の小悪魔は春乃ちゃんである。


私の攻めにこれでもかと感じ瞳を潤ませ、頬を上気させるサマに今まで何度も理性を吹き飛ばされた。しかもお互いコレに関しては底のない体力を持っているせいで時間が許す限り求め合ってしまう。


私達の求め合いでギシギシと音を立てるベットの上で、今の様に。


そして───


「はぁ…はぁ…詩音、もっと…したい…」


「えっ、ちょっ…私今イッたばっかりで───」


そのままたまに春乃ちゃんの昂りが私を飲み込んでしまうこともあるのだ。こうなるともう、いつもの攻守は逆転。私はされるがままになってしまう。


「あぁ!?ちょ…う…んむっ!?」


「詩音…」


ぢゅる…と春乃ちゃんの舌が私の唇を割り、舌を絡め取り、お互いの唾液を交換する。淫靡な音が部屋中に鳴り響き、次第に私の頭をぼうっとさせた。


しかも、この状態の時の春乃ちゃんは恐ろしい程にドS。私の体に春乃ちゃんの手や舌が這う度に跳ねる程の快感に襲われる私を見て、その日一番の可愛らしい笑顔を見せるのだ。


そして私が一番感じる敏感なところを何十分も攻め続ける。口に含まれて舐め回され、手で愛撫され、互いの秘部を重ね擦り合わせる。


唾液と、汗と、愛液と。体液という体液にお互いの体が塗れ部屋に熱気が立ち込める。


「あ"あぁ…!んぉ…!?」


「ぢゅ…ぢゅる…」


ついに私は言葉にならない喘ぎ声を上げ始めた。


それでも春乃ちゃんは止まらない。


普段攻めている春乃ちゃんに優位を奪われ、ただひたすらに攻め尽くされる。実はこれが最近少し癖になっているのは秘密だ。


それから春乃ちゃんは色んなおもちゃを使って私を虐め抜く。馬鹿になってしまった私はだらしなく蜜を零し続け、もっと…とさらに求めてしまう。


根本的に、普段の姿ではそう見えないだけで本能のところでは恐らく春乃ちゃんがドSで私がドMなのだろう。普段とのギャップが私達の行為をより濃密にさせる。


愛している人との行為がこんなに気持ちいから、愛している人だから私達は溺れ合う。


愛しているからこそ、本能をぶつけ合う。


そしてお互いの脳に、体に、刻み込む。


貴方は私の女なんだと。誰にも渡すものかと。


あぁ───


愛してる。


淫らな私のお姫様。

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