月から来た美少女が

@Contract

第1話 いつかは別れるけれど

今日も誰もいない静かな玄関を開きご飯を作り始める予定だった


「ただいま〜」


でも今日だけは違った、いや訂正

今日からは違った


明かりをつけて無造作に玄関から部屋の中に鞄を放り投げる


「ぐえっ!」


「っ!?」


狭いアパートの一室にするはずのない奇妙な声に背筋がぞくっとする

脳がこの現象を理解しようと、とっさに部屋の中へと目を向けた


「ちょっとあんた!この私になんてことすんのよ!」


彼女を見た瞬間言葉を失った

整った顔立ちは美しく、髪の色は美しく輝く金色で、肌はまるで生まれたての赤ちゃんのように綺麗だった

コスプレでしか見たことないような白く

美しい衣服がそれを際立たせる

年は同じくらいに見えるが、このくらい可愛い子を見たことが無い


「ねえ、聞いてるの人間!」


しかし、このままではいけないと急いで意識を戻す


「いやいや、てかあなた誰だ!?」


よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに

さっと立ち上がり胸を張って答える


「私は月の貴族一人であり、誰もが羨む

美少女のトゥリー・セレスよ!」


「は?」


「今日から月へと帰るまでの償いの時間

をあなたのこの小汚い部屋で過ごしてあげるから感謝しなさい!」


「は?」


全く持って訳がわからない、中二病患者か

何かだろうか


「君は何を言ってるんだ?」


「はぁ、さては信じてないわね」


これで信じられる奴がいたら教えて欲しいものである


「そうね、あなた何か欲しい物は有る?」


「欲しいもの?」


「ええ、欲しいもの何かあるでしょ」

「それを私が叶えてあげる」


「じゃあそうだな、彼女」


「あなたみたいなのに彼女?」

「さすがにそれは高望みす気でしょ!」


手を口に当て小馬鹿にしたように笑っている


「あ〜もうキレた!」

「さっそく警察に電話だ!」


こんな馬鹿なことをす押しでも信じた自分がはすかしい

ポケットに手を突っ込みスマホを取り出すが

その手に抱き付かれる


「やめて、それだけは勘弁して!」

「地球に害がないように弱められてるの

もう一回だけチャンスをちょうだい!」


あまりの迫力に反射的に返す


「あ〜もう最後だぞ!」

「親友の今田中の履いているパンツをここに出してくれ!」


「了解よ、しっかり見ておきなさい!」


机の方へと手を向けると

机の上に青白い光が出現し始めたかと思うと

消えて、そこには親友の田中のパンツが乗っかっていた


恐る恐る机の方へと向かいパンツを確認する

する


「これ本物?」


「本物よ、てかこれ頼むなんてあなた頭おかしいんじゃないの?」


「仕方ないだろ、とっさに言ったんだ」


とりあえず田中に連絡をする


「おう俺だ、いきなりどうした」


「お前のパンツを頂いた、確認してみろ」


さてこれで田中がパンツを履いていれば

俺が変人である、緊張の瞬間だ


「は、パンツがないだと!?」

「まさかお前、俺の事が…


急いで電話を切った


「セレス、少しお前の話を聞いてから判断させてくれないか?」


「それは構わないけれど、あなた今のはまずいんじゃない?」


「大丈夫、俺と田中の仲だ」


「なら構わないけど」

「取り敢えず知りたいことを私に質問してちょうだい」


「じゃあまず何故地球に来たのかから教えてくれ」


「いいわ、要するに勉強ばかりでサボってたから罰として不便な地球に送られたのよ」


「地球がか?」


「ええ、私たちの所ではほとんどの物事が

機械で済ませられるし、ある程度ならあの力で何とかなるのよ」


「具体的に言えばどんな事だ?」


「そうね、授業で習ったけど地球って、ご飯を自分で作ったり、働かなくちゃいけないん

でしょ?」


「ああ、当たりまえだ」


「そんなの月の方じゃもうしないのよ」


「それで不便って事か」

「てかそれなら、お前が地球で家事をそれでこなせば変わらないんじゃないのか?」


「さっきも説明したとうり、力が弱められているって言うのはそうゆう事をできないようにするって意味でもあるのよ」


「そうゆう事か」

「なら次、償いが終わるって言うのは、

どうゆう事だ?」


「私がサボった分地球で奉仕して

月が認めたら償いが終わる、それだけよ」


「じゃあ最後に、どうして俺のところに来たんだ?」


別に地球のどこでも良かったはずなのだ


「それは、私の最初の奉仕だからよ」

「意味は…分かるでしょ」


苦い顔を浮かべ、手を後ろに組む


「…分かった」


少し考え手を差し出す


「俺の名前は分かる?」


「古川 優 でしょ」

「これから償いが終わる日までよろしくね」


互いに握手を交わす


「にしたっていきなりだからな、飯にしかり布団にしかり、まだ何もお前の分はないぞ」


ひとり暮らしの男子なのだから尚更だ


「あら、それなら心配いらないわ」


さっきの青白い光が台所で起こった

かと思うといきなり食材が出てきた


「今日はもうあの便利なのは使えないから

布団は私によこしなしさい」


「おい、ふざけるな居候」

「罰でこっちきてるんだから日本伝統の

礼儀と礼儀を学んで帰ったらどうだ」


「は?あなたこそ何言ってるの、私は貴族の娘よ!」


「そんなもんここじゃただの居候だ」


テテ〜テ〜


部屋の時計が午後八時を告げる


「もうこんな時間か、急いで飯作るぞ!」


セレスの手首を掴み台所へと引っ張る


「やだ、私料理なんてしたくない!」


セレスも必死の抵抗を見せる、とゆうか

泣いてすらいる


「そんなにいやか!」


「いやよ、めんどくさい!」


「そうか、じゃあ飯抜きだ」


手を離し一人台所へと向かう


「ごめんなさい、手伝于からそれだけは

やめてください、ゆう様〜!」


今度は逆に抱きついてくる


「今日は時間もないし、うどんにするか」


あまり前例のないであろう

野菜の召喚物をしまい、冷凍うどんと

ネギを取り出す


「取り敢えず包丁でネギを切ってもらえる か?」


「ふふ、任せなさい」


自信満々で包丁とネギを受け取る


「これくらいなら教科書でみたわ!」


そう言うとまな板の上にネギを載せる


「お、さすが…?」


包丁を高く振り上げる


「ちょ、おいおい!」


振り上げられた包丁は刀の如く振り下ろされ

ネギは勢いで見事に吹っ飛んでいった

切り方までは知らないようだ


「……」


「……猫の手から覚えような」


「なんか知らないけどお願いします」


「手をなこう丸くして、こう切ると手を切らないだろ」


「なるほど、なるほど」


ぎこちないながらも何とか切っていく


「お、上手だな」


「えっへん!」


「じゃあコンロの使い方はわかる?」


「わからないわ」


「えっとこれはな」


ロックを解き手首を捻る


「へーこう使うのね、面白いわ!」


「これで面白いなら、地球での生活はかなり楽しくなりそうだな」


鍋に水を入れ火にかける


「これにこの黒い調味料と、さっき入れたやつを入れて完成だ」


「いい匂いがしてきたわ」


「そうだな、水の出した分かるか?」


「ええ」


「じゃあ汲んで机に置いてくれるか?」


「任せなさい!」


火を止め机まで二人分持っていく


「さあさあ、早く食べましょ!」


「そうだな、頂きます」


「頂きます!」

「って熱うううい!」


勢いよく水を飲み込む


「はは」


二人して冷ましながらうどんを食べる

日本食が合うか心配だったがこの様子だと

大丈夫そうだ


誰かと食べるなんていつぶりだろうか



「ごちそうさん」


「ごちそうさまでした」


「風呂の入り方分かるか?」


「ええ、見たことあるわ」

「じゃあ風呂先に入るか?」


「う〜ん、そうさせてもらうわ」


「タオルはそこに使ってないの置いてあるから自由に使ってくれ」

「風呂はあっちで、トイレはそこだから」


「ありがとう、行ってくるわ」


「ああ、ゆっくりしてくれ」


「あ、覗かないでよ?」


「覗かないよ!」


風呂の戸が閉まる


しばらくして我に帰る

あり得なさすぎて開き直ってしまっていた


「調べてみるか」


今起こっていることを調べてみる

しかしどこを漁ってもそれらしい情報は出てこない


「なんか覚えがある気がするんだけどな」


なんだか当たりまえすぎて忘れてるような


「ああ、あれか」


そう言えば昔授業で国語の時間にやった

有名なやつだ


「あれになるなんてな」


こんな今でも実感が湧かない

まあ、なるようになってしまえ



「あんなこと言って何だけど、本当に私が使っていいの?」


「いいよ、明日には揃うし」


流石に布団はセレスに使ってもらった

いくらなんでも女の子をこんな硬いと露に寝かすわけにはいかない

現在畳にごろ寝中だ


「今日だけ我慢してあげるわこっちに

 きなさい」


恥ずかしそうに顔を隠し布団の端による


「いやでも…」


「いいから来なさい、その代わり私に触ったりしたら一生許さないから」


「失礼します」


体が触れ合わないように出来る限り離れる


「おやすみ」


「おやすみなさい」


俺は明日が少し楽しみになった

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