Act:13『幸せです』

悠「そういえば先輩、前から下の名前で呼んでましたっけ?」

蛍「俺は基本下の名前で呼ぶようにしてるんだ。

  初対面で呼ぶのは気が引けてな……名前で呼ばれるの、嫌か?」

悠「いいえ! むしろ嬉しいですっ!」

蛍「そ、そうか? それなら良かった」

智「めちゃくちゃ馴れ馴れしいです」

蛍「す、すまん……苗字の方が良いか?」

智「別にいいです。今更戻されるのも癪です」

蛍「お、おう……」


蛍「智はなんで悠と仲が良いんだ? 同じ中学とか?」

智「じゃないです。そして大して仲良くもないです」

悠「え~酷いよ智ちゃん!」

智「こんな生きる浮き袋なんかと友達とか嫌です」

悠「ま、また浮き袋! うわ~ん!

  智ちゃん、よく私のこと浮き袋って呼ぶんです……どうしてでしょう?」

蛍「え……」

悠 ぽよんぽよん

智 いらいらいらいら

蛍(……なるほどなぁ)


――――――――――


悠「先輩が一番興奮する服装って何ですか?」

蛍「唐突だな話題が……そんなの別にない」

唯「彼はバニーガールが好きだよ」

蛍「言ったことねえよ!」

悠「イったことないんですか!?」

蛍「そのネタはもうコイツが使った!」

悠「はうっ!?」

唯「悪いね」

悠「うう~……悔しい!」

蛍「悔しがることでもないだろ……」


――――――――――


悠「喉渇いた~智ちゃん何か飲み物買いに行こう?」

智「私は別に渇いてないです」

悠「そんな悲しいこと言わないでよ~……ね?」

智「仕方ないです、行ってやるです」

悠「やった♪」ぽよんっ

友(一気に行きたくなくなったです……)


悠「この学校凄いよね~自販機たくさんあるし」

智「種類もたくさんです」

悠「智ちゃん何飲むの?」

智「抹茶です」

悠「抹茶?」

智「そうです。抹茶です。抹茶一択です」

悠「渋いね~智ちゃん」


  ガコンッ ゴクゴク

智「はぁ……幸せです」ぽや~ん

悠「と、智ちゃん!?」

智「なんです」

悠「もっかい飲んで」

智「強制するなです。まあ飲むです。……はぁ、美味です」ぽや~ん

悠(すっごく可愛い!!)

智「早く飲むです」

悠「う、うん……」

 (智ちゃんの衝撃的な可愛さで飲んでる場合じゃない……!)


蛍「なあ、智」

智「なんです? 先輩さん」

蛍「なんで俺のこと、『先輩さん』って呼ぶんだ?」

智「それ以外に呼び方があるです?」

蛍「ど、どういうことだ?」

智「それ以上の特徴が、先輩さんにはあるです?」

蛍「うおおおやめろ、結構気にしてるんだから!」


蛍「じゃあ、アイツはなんて呼ぶんだ?」

唯「……ん?」

智「ボクっ娘さんです」

蛍「そのまんまだな」(でも俺よりマシな気がする……)

智「先輩さん、他の呼ばれ方したいです?」

蛍「ん、そうだな……お願いする」

智「ツッコミさん」

蛍「やっぱり『先輩さん』で頼む……」


悠「先輩! 私のおっぱい揉みますか?」

蛍「いきなり何言ってんだお前は!?」

悠「誰にも触られたことのない初物ですよ~! あ……」

蛍「……?」

悠「触られたこと、ありました……」

蛍「え!? だ、誰に……!」

悠「智ちゃんに……何度か……」

蛍「智かよ!! しかも何度か!?」

智「触ってねーです。勝手なこと言うなですっ!」ぱちんっ

悠「いたっ! また触られたー!」

蛍(触ったというか、これははたいてる、だな……)

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