読み人選ばずの、王道ファンタジー

決して強くはない優しさ重視の主人公が、時に挫折し温かな仲間に励まされながら、必死で生きていくという、人の心がたいへん受け入れやすい王道ストーリー。
実に物語に安定感がある。屍人というグロテクスな存在を多数登場させていたり、弱い主人公なので大切な物を失うシーンもしばしば含まれてくるにも関わらず、読者の胸に嫌悪感を抱かせない。
むしろ、主人公を応援したくなる状況に持っていく手腕は見事。
こういう背骨がしっかりとした物語は、安心して読み進めることができるのが魅力だ。
どんな人が読んでも、一定以上の楽しみを得ることができるだろう。
物語はまだ2章。ここからどんな展開を見せるのか期待の一作品。

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