第4話プロローグ

「百婆ちゃん! こいつら何者?!」


「雑魚の小鬼どもじゃ!」


 おいおいおい、小鬼てどうみてもファンタジーのコボルトでしょ!

 何で宗家の敷地内にこんな化け物がいるの!

 いや、どう考えても敷地内の神社にお参りした後で異世界に転移してるじゃん!


 「小鬼の事は分かったけど、なんでこんな所に飛ばされたの?!」


 「お前は八十年振りに現れたわしの相棒じゃ!

 ふぇふぇふぇ」


 くそ!  

 最初から俺を罠に嵌める心算だったな、糞婆!

 毎年毎年盆正月に一族一門を宗家に呼び寄せ、生活費として五十万円配るのは、異世界に一緒に行ける者を探すためだったんだな。

 しかし何で百婆ちゃんあれほど動けるんだ?

 薙刀をブンブン振り回してコボルトを一刀両断にしてるけど、転移する前は結構ヨボヨボしていたよな?

 一方俺はあちこち不調なんだけど、もしかして俺の若さを奪ってない!?


 ああ、嫌だ嫌だ嫌だ。

 普通なら孫は可愛いというけれど、百婆ちゃんは七男四女を産んだ子だくさんだ。

 その子供も孫も曾孫も子だくさんだから、玄孫の俺達なんか履いて捨てるほどいるから、玄孫の一人くらい死んでもいいと、いや、生命力を吸い取ってもいいと考えていてもおかしくない。


 道理で俺たちにロールプレイングゲームやファンタジーゲームを勧めるはずだ。

 この世界に連れてきても対応できるように考えていたな。

 まんまと洗脳されちゃってるよ。

 楽しくて仕方がないよ!

 高校生にもなって中二病真っ盛りとは、我ながら情けない。


 でもさぁ、百婆ちゃんが気前よく配っていた大金が、こちらで稼いだものなら、俺も稼ぐチャンスだというわけだよな。

 こっちで稼ぐだけ稼いで、日本で悠々自適な生活を送るのもいいよな。

 百婆ちゃんが長生きなのも、こっちで体力や能力を高めたからだと考えれば、俺も長生きできるかもしれない。


 最近人間が死んだらどうなるのかと考えると、怖くて叫びだしたくなるんだよな。

 長生きできるなら、できるだけ長く生きたい。

 それに、もしかしたら、異世界なら不老不死があるかもしれない。

 どんどん元気になっていく百婆ちゃんを見てたら、そんな気がしてきた。


「槍太!

 まだまだ戦い足りないから、もっと鬼の多いところに行くぞ。

 送れずについてこい!」


「百婆ちゃん、ちょっと待ってよ!

 俺のレベルも考えてよ。

 俺は世界に来るのは初めてなんだよ!」


「なに甘えた事を言っておる。

 何のために代々鍛えて大金を支援して、総合武術道場を設立させたと思って居る。

 槍太の強さは毎年盆暮れに確かめていた。

 十分戦えるからついてこい!」


 


 


 

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