第12話 もふもふと冒険者になる。

 モンブラン。確かに見た感じは、緑豊かで落ち着いている。のどかなで開放感がある街並みって感じですね。何て素敵なんでしょう。こういう所ならずっと住みたいですね。


 街には、馬車を預かる場所があるらしいので、そこに預けることにした。皆さんには、砦での出来事はくれぐれも内密にと、お願いしときました。レスガーシュさん達も女性達に心から謝り、許してもらいました。


 女性達を家に送るため、レスガーシュさん達とは一旦別れ、後ほど夕飯時に、ここで落ち合う事にしました。


 飯時にはちょうど、街にある教会の鐘が2回鳴るらしい。ちなみに朝、昼も2回づつ。


 馬車で来たせいか、かなり早く着いたので、昼食にする事にした。


 それにしても、さすが街ですね。人が多い。しかも居ますよ獣人が!! ザ・獣人。前身毛に覆われている猫に兎に虎に狼。etc

 それに耳と尻尾だけがけものの人。ハーフですかね? 人間との。いや~もう顔がニヤける。


「アオバさん顔!! ニマ~~ってなってる」


「だって~。わかるよね? しょうがないじゃん」


 わかるけど周りの人にジロジロ見られて恥ずかしらしい。


「ママ~あそこのお兄ちゃん変な顔してるよ」

「シ~~! 見ちゃダメよ。変なのが伝染うつるから」


 ご、ごめんなさい……。


「あっシーナ、飯屋ってさ、うさ子入れないよね?」


 シーナも、ハッ!てなった。


「だったらシーナ。そこら辺の露店で買おうか」


 普通そうだよね。ごめんうさ子。頭に乗っているうさ子を撫でた。露店か~、それはそれで楽しみですね。


「そうしましょ、ご主人様」


 ん? ご主人様? 後ろから誰かが言った。俺の事? 気のせいだね。


「いや、あの~無視は良くないですわ」


 やっば俺ですか。振り向くと、俺が助けた猫耳娘が居た。


 おっ、かっ可愛いぃぃ。そして綺麗。綺麗寄りの可愛いかな。昨日は耳と尻尾しか、あまり見なかったけど、よく見ると、かなりの美人さんです。


 栗色のショートボブ。大きくてパッチリしてるけどちょっとつり目に茶色の瞳。色白で、程よい大きさの猫耳に、ふわふわの栗色の尻尾。何よりも、スタイル抜群。


「だから、アオバさん顔」


 シーナが呆れた目で俺を見る。ご、ごめん。シーナさん……そんな目で見ないで。


「いつから居たの? てか、ご主人様じゃないですよ」


「最初から居ましたよ。気づいてくれなくて悲しいですわ。ご主人様は、ご主人様です。私を買ってくれたじゃないですか。何処までも着いて行くといいましたよ私」


 最初から? 気配でも消してたのかな。ちょっ声が大きいから。あれは買ったというか……そんな、わけじゃなく。確かに着いて行くと言ってたけど……。


「ママ~またあのおにいちゃんいるよ。ね~ね、あのおねえちゃん売ってんの。わたしもほし~ネコさんほしい~」

「バカなこと言うんじゃないわよ。売ってるわけないでしょ。あのお兄さんは変態なの!伝染うつるから早く行くわよ」


 変態って……。

 子供のお母さんに睨まれる。シーナにも。


 猫耳娘は俺にしがみついてくる。

 ヤバい良い匂いがする。変に色っぽいし、何か吸い込まれそう。これは魅了ってやつだね。うん、きっとそう。


「アオバさーん顔」


 ……ごめんなさい。


 嬉しいけど困ったな。ずっと着いて来るんだろうな~。


「買ったんじゃなく、助けただけだら。それにご主人様は止めて。アオバでいいよ」


「わかりました。アオバ様。でも一生着いて行くのには変わりませんからね。私はユズ・イスカ。末永くよろしくお願いします」


「末永くですか。ほんとに一緒に来るんだね。何かあっても責任もてないよ? 」


「大丈夫ですわ。自分の身は自分で守れますから」


「わかりました。ではよろしく、イスカ」


 握手変わりに、猫耳をさわさわした。おっ。以外と柔らかいし、気持ちいいですね。


 まぁ何にしても、魔獣のお仲間さんは大歓迎ですよ。それに猫耳なんて、萌え萌えじゃないですか。人間は、元々仲間にする気はありませんからね。


 こうして、また新たな仲間を迎えました。


「アオバさんて、やっぱり変態だったんですね」


 シーナは冷めた目で俺見てから、イスカを見た。

 イスカは顔を真っ赤にしていた。


 ――――――――――――――――――


 露店もなかなか気に入りましたよ。拳闘兎の串揚げが美味しかった。身が引き締まっていて、さっぱりした塩味。実に美味しかった。魔獣の肉も捨てたもんじゃないね。


 フルーツも食べた。見た目も味もメロンにそっくりなフルーツ。メロン何て、二度と食べれないと思ってたから、嬉しかった。大好きなんですよね、メロン。メロン繋がりでメロンパンも大好物です。うさ子も美味しそうにメロンを食べていましたよ。満足です。


 そうこうしているうちに、シーナがギルドに行くと言った。すっかり忘れていた。報告だよね、大丈夫かな? 辛いよね。俺は冒険者にならないと。


 シーナに連れられてギルドに来た。 意外と大きいですね。シーナは報告に行くと言って、俺と別れた。

 シーナともここまでかな? 寂しいけど、街までの約束だからね…… 。


 ここが冒険者ギルド。色んな人が居ます。もちろん獣人もいます。仲間にしたい。てか触りたい。ウズウズする。

 この衝動を抑え、俺は受付に来た。イスカも一緒に。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。今日はどういったご御用ですか」


 緊張してきた。


「あの~、冒険者になりたくて来ました」


「冒険者ですか。わかりました。少々お待ちください」


 受付のお姉さんは、裏に引っ込み、しばらくして戻ってきた。


「お待たせ致しました。私は受付のマシェリと申します。以後お見知り置きを」


 そう言い、1枚のカードを見せた。


「職業はお決まりですか?」


「はい、決まってます」


 マシェリさんは、冒険者になるための、説明をしてくれた。


 まず職業が決まったら、冒険者になる為のカードを買う。これが冒険者の身分証になる。無くしたら再発行するのに、時間かかるし、手数料として、お金も倍払う。気をつけるよう、注意喚起された。


 そして、このカードに自分の血を垂せば、仮の冒険者になれる。ただそれだと、あくまでも仮。


 冒険者にはF~Sのランクに分かれている。受けれる依頼は自ランクの1つ上、もしくは1つ下まで。ただし、Dランクまで。DがCランクの依頼は受けられない。Cランクから危険度が上がる為。もちろんその分の依頼料も跳ね上がる。


 各ランクはポイント制で、50ポイント貯まれば、次のランクの試練を受けらる。ランクを上げる前には、試練を必ず受ける。試練クリアで次のランクに昇格。


 まずは、Fランクになる為の試練。

『スライムの討伐』スライムを10体倒し、魔核コアを入手することだった。


 そこでイスカは言った。


「私も冒険者になりますわ」


 お~イスカも冒険者になりますか。


「イスカは職業決まってるの?」


 何も決まってないらしい。俺が冒険者になるから、イスカもなるとの事だった。

 マシェリさんが、職業が決まってないなら、適正判断を受けらることを教えてくれた。イスカが受けたいと言うので、マシェリさんに頼んだ。


 受付の奥から1人のおっさんが現れた。ギルドの職員で、適正判断をしてくれるらしい。

 おっさんは、イスカの額に人差し指と中指を当てた。


「適正がわかった」


 早い、もう分かったんですか。


 イスカの適正は、盗賊、くノ一、武道家、ハンター、踊り子の5職。女盗賊か~。盗賊はちょっとな~。くノ一……何で日本の物があるんだ? おかしいよね。だけど、くノ一はカッコイイよな。イスカに合いそうな気がする。武道家、イスカは意外と肉体派なのかな? ハンターも合いそうだね。踊り子もわかる気がする。男はその美貌から、メロメロになること間違いなし。


「イスカどれにする? どれも中々の魅力的だよ」


「アオバ様が決めてくださいな。私はアオバ様のお役に立てれば、それでいいのですよ」


 マジか。職業は一生物だよ。他人がおいそれと決めて良い物ではないんだよ。責任重大です。ほんとにいいんですね。なら、もう決まってますよ。


「マシェリさん、1つ質問です。くノ一なんて職業、最初からありました? この世界の職業じゃないですよね?」


「え? どういうことですか? 最初からありますよ。と言いたいところですけど、私にもよく分かりません。突如現れた職業がこの世界には存在しています。その1つがくノ一です」


 ははぁん、これは。神の仕業ですね。過去に、忍者でも転生させたね。ということは、この世界のどこかに、忍者の末裔がいるよねきっと。会って見たいな。いつか、会えるといいな。


「イスカ、決めたぞ。イスカの職業はくノ一だ」


 絶対似合うでしょ。くノ一の衣装。ミニスカで、スリットが入ったやつないかな。


「イスカさんにお似合いな職だと思いますよ」


 マシェリさんも賛同してくれた。よかったねイスカ。


「ありがとうございます。アオバ様。これから私はくノ一として、影からアオバ様をお支え致しますわ」


 そして、2人で冒険者カードに、針で指を刺し、血を垂らした。すると、カードに名前と、Lv、職業が現れた。ランクの所は(仮)と表示された。カードの値段は銀貨5枚。イスカの分と合わせて10銀貨。つまり1金貨を払った。


 そういえば、スライムの魔核コア持ってるんだよね。今渡してら即クリア出来るんだろうか。


 そこで、見知ら人から声を掛けられた。


「あの~すいません。Fランクの試練受けられるんですよね。良かったらご一緒してもよろしいでしょうか」


 そう言いってくる1人の男児がいた。可愛らしい男児だ。

 この世界の子供は、可愛い子が多いような気がする。男の子も。言っときますが、そっちの趣味はありませんよ。しかも、ちゃんと丁寧な言葉使いで。前世の子供でも、こんなきちんと喋れる子、が果たしてがどのくらいいるのか。見習ってもらいたいものだ。


「え~と君も、あっ君達か。2人組かな? 冒険者? それにしても幼いよ?」


 そうらしい。どうやら、成人したらすぐに冒険者になると決めていたらしい。


 彼の名前はルクピス。その横に居るのが大人しそうな少女で、名前はクルミ。何て可愛いらしい。フード付きの白いローブを頭からすっぽり被って、上目遣いで目を潤ませている。守ってあげたくなっちゃうよ。

 成人してすぐに、ギルドに登録したけど、冒険者になりたてが2人しかいなくて、誰も相手してくれなかったらしい。


 成人は15歳だとのこと。出ましたよ15歳。異世界成人はだいたいが15歳。誰が決めんたんだよその設定!! まだまだ子供なのに。と、思いながらも、この世界もちゃっかり15歳でした。それにしてもルクピス達は15歳に見えないですね。


 手っ取り早く、持っているスライムの魔核コアを、マシェリさんに渡そうと思ったけど、あんな上目遣いされたら断れないです。


「良いですよ。じゃあ、サクッと行きますか。リーダーはルクピスね。若い人には頑張ってもらわないと」


 マシェリさんに、スライムの出現場所を聞いたら、この街から東に行けば、何処にでもいると教えてくれた。


 お礼を言い、出発した。


 街を出て、東に進んで行くと、スライムが居た。確かに何処にでもいた。普通のスライムが2体ですね。


 早速、ルクピスが剣を構える。クルミンは後ろで控える。イスカも戦闘態勢。


 おっ三人の体が光りましたね。


 名前:ユズ・イスカ Lv:1

種族:猫耳人 性別:女 年齢:17

属性:火

HP3/3

MP3/3

スキル【身体強化・敏】Lv1

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:2


 名前:ルクピス Lv:1

種族:人間 性別:男 年齢:15

職業:戦士 属性:風

HP7/7(+5)

MP3/3(+2)

スキル【身体強化】Lv1

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:3


 名前:クルミ Lv1

種族:人間 性別:女 年齢:15

職業:白魔道士

属性:水

HP1/1

MP7/7(+5)

スキル【MP強化】Lv1

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:3


《スキル【鑑定】のLvが3になりました》


 おや、鑑定が上がった。実は、度々色んな物を鑑定してたんだよね。草とか、石とか、とにかく何でも。Lvを早く上げたくて。


 3人共Lv1ね。これが初戦闘ですね。

 体が光ったのは強化系スキル使ったからだね。


 あっイスカ、17歳だっのか。の割には、 大人びてますね。クルミン HP1って……一撃で死んじゃうよ。クルミンの傍に行ってあげた。 イスカも大丈夫かな? スライムと同じHPだけど。 素早さがあるから大丈夫でしょう。


「さあ2人共頑張って。応援してますよ。俺はここで、クルミンを守ってます」


「アオバ様の為に頑張りますわ」


 そう言い、俺に手を振っている。

 ルクピスは頷く。

 クルミンは、目を潤ませ俺を見ている。頭を撫でてあげた。なんて可愛い、ニマ~てなる。シーナがいたら、「アオバさん顔」って言われそうです。


 まずは、ルクピスの攻撃。両腕で構えた剣をスライムに振り下ろす。スライムを真っ二つに斬った。


 やりますね。ルクピス。何の迷いも無く切り伏せるとは。不安そうにしてた少年には見えません。


 次はイスカ。素早さを活かし、指から伸びた爪で、スライムが倒れるまで切り裂く。


 まさか、爪が武器になるとは思わなかった。戦闘時に爪が伸びるんだね。さすが猫です。それにしても、なかなかのけものでしてたよ。

 野獣ですね。怒らせたくはないです。短剣を渡そうと思ったけどいらないみたいだね。


「やりましたわ、アオバ様。見ていてくれましたか」


「ええ、凄かったですよ。2人共お疲れ様。残り8体もこのまま頑張りましょう」



 ――――――――――――――――――


 程なくして、残り8体も難なく倒し、見事試練をクリア。4人共Fランクになりました。


 ちなみに3人共Lv2になりました。


 こうして、晴れて冒険者の1歩を踏み出す事が出来ました。











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る