第33話 幽霊屋敷


「ちょっとカイラ気付いてる?」


「ええ、この家から無数の気配を感じるよね」


「先生、カイラさん、とりあえず入りましょうか」


 メアリーはドアをスッと引いた。

 うわぁ、音も無く開くドアはどことなーく不気味に感じてしまうわね。

 でも家の中は清掃が行き届いているのかとても空き家とは思えない

 でも部屋部屋の妙に鎮まりかえった雰囲気、何処からか流れ出て、廊下にさえ感じられる冷ややかさに、用心を感じるわ〜

 部屋に入ったその時、突然奥の扉が開き出し、周りに漂っていた不穏な気配が辺り一面に広がり、そこに存在していた幽霊供が姿を現した。


「あ…あれは何ですか?」


幽霊レイスだよ。コレが例の銀製の武器でしか倒せないお化けだよ。」


「行きます。はっ!」


 メアリーは勢いよく幽霊供に飛び込んで行ったが彼女の拳はスーッと幽霊供を通り抜けていった。


「あ……当たらない?」


「だからそいつらに物理攻撃は効かないって」


 動揺するメアリーを見て呆れるカイラ、そしてその横にいる依頼人のオッサンはというと………


「う……うわぁ誰か助けてくれぇオレはこういうのはマジでダメなんだよおぉぉっ!」


 何よこのオっさん随分と怖がりなのねー、柱にべったり抱きついちゃってさっきまでの威勢は一体どこへ行ったのやら……


「ねえカイラこのオジさんはもう戻ってもらうほうがいいわね」


「あっそうだった忘れてたよ! 転送魔法アポート


 よしっカイラの転送魔法によって角刈りオヤジは無事にこの場から離れてくれたわね


剣技ソードスキル『瞬速剣』」


 カイラは銀のダガーでスパスパと幽霊レイス供をあっさりと切り裂いていく。

 うわ、カイラはミンジュンと違ってスピード重視なのね〜

 んじゃアタシも行くわよー


念力サイコキネシス


 アタシも念力で銀のダガーを操って幽霊供を切り裂きまくった。


 後ろに下がり、2人の活躍を見ていたメアリーが奥の部屋にある不気味な光を発している何かに気付いた。妙に気になったのでそーっと近づいて部屋の扉を開けて一歩踏み出してみるとその足元に小さな魔法陣が描かれてあったのに気が付いてしまい思わず声を上げた。


「あぁっ! 先生ちょっと助け……」


 ゴロゴロ…ピカピカッ!ドドーン!


 突然、空が裂けるかと思う程の音を立てて雷が鳴り響いたその瞬間、アタシ達は後ろから何かに吹き飛ばされてそのまま意識を失った。


 んっ……

「先生、大丈夫ですか?」


 ゆっくり目を開けるとすぐそばにメアリーがいてアタシを心配そうに見ている。


「アラッここは一体どこなのかしら?」


「あの……何かさっきの光によってここに飛ばされてしまったようです?」


「ああ、おそらく設置型トラップの類だろうな」


 少し離れた所にカイラもいた。

 どうやらアタシ達はさっきの魔法によって先程いた一軒家よりも広い建物の中にいるようだ。

 何かこの部屋ものすごくヨーロッパの館って感じの雰囲気ね〜


 とりあえず周りをぐるっと見渡すと目の前の階段の横に西洋騎士の甲冑が飾ってある。

 それを見たメアリーが少し興奮気味になり出した。まあ確かに身分の高い人がつけてそうね


「わぁ先生見て下さいよ。すごく立派な鎧がありますよ」


 メアリーがその鎧に触れようとすると、ガタガタときしむ音を立てて鎧が動き始めた。


「リビングアーマーか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る