アタシ♂お魚に転生しちゃって未熟な勇者を育てる事になっちゃった〜

第28話 はじめての依頼

　ギルド設立から早数日が過ぎた。

　店の一階であるギルド受付のすぐそばにある席に着いてメアリーとのんびりお茶を飲んでいると

　この町で守備兵士をやっていたアーリッヒが是非ギルドに入れてくれと突然やって来た。

「守備兵は辞めてきた。この間の魔物襲撃で勇者様と共に戦いオレはあの方の果敢に魔物供と戦う御姿に感銘を受けてここへ来たんだよ！ いつかは勇者様と肩を並べれられるような最強の冒険者になるために…」

　アラまぁっ！ なーに今度はミンジュンが憧れの対象になっちゃっているのね？

　受付係のセシリーは何も言わずに笑顔でササっと登録を済ませてくれた。

　ギルドの受付の横にあるボードに依頼（クエスト）を張り出したそうなのでどんなのかちょっと見て見ようかしら♪

【山賊討伐】

【幽霊屋敷の調査】

【山菜採取】

【ゴブリン退治】

　この幽霊屋敷って一体何なのーっ どうも気になるわね？

「先生っ私、山菜採りなら得意なので行ってきても良いですか？」

「アーリッヒさん、ミンジュンさんを誘って森へ山菜採取に行ってみませんか？」

「おう！ また勇者様の勇姿がみれるのか？」

　いやミンジュンは今、孤児院から来た5人の子供達にそれぞれ二階の仕事を教えているのでムリよ！

　メアリーは二階の厨房にいるミンジュンに声をかけてみたが忙しくてそれどころじゃないらしいので結局2人で森へ山菜採取に行った。

【シュテーベの森林】

　１時間程、深い森の奥を歩いて行くと急に辺りに霧が立ち込めて来た。

「なんか霧が出て来て急に寒くなってないか」

「えっ、大丈夫ですか？保温魔法（ウォーム）」

　ガサッ

　突然獣道から傷ついた少年が現れた。

「……助けて、魔物が来る…よ」

　少年はそのまま前のめりにバタッと倒れた。

　彼の背中は何者かに背後から引き裂かれたであろう跡がありすぐに治療が必要だと思ったのか

　メアリーは魔法袋（マジックバッグ）から回復薬

　を取り出して少年に飲ませた。

　数分後、少年から何があったのか話を聞く事にした。

　少年の名はマウロという薬屋の子供だそうだ

　彼は父と回復薬の原料採取に来ていたのだが

　突然、魔物が襲いかかって来て父親の捨て身によってなんとか逃げる事ができ、命からがらここまでたどり着いたのだ。

「と…父ちゃんを助けてくれよ頼むよ！ お礼ならさオイラが何でもするからよ」

　メアリーはアーリッヒの肩を叩き、強い眼差しで彼を見る。

「ああ、わかっているよメアリー！ここは断ったらダメだよな、オレにもカッコつけたい相手がいるんでここは武勇伝の一つでも作るつもりでやらせてもらうぜ！」

「ええ、その調子でお願いしますね。期待してますよアーリッヒさん」

　小鳥や小動物たちの泣き声がしなくなった？

「まさか…もうこの近くにいるの？」

　それはもうすでにメアリー達のすぐそばにいた。

　木々をなぎ倒しバキバキと音を立てて近づいて来るその姿は黒い巨大な犬の姿をした魔物だった。

「バーゲストか、おいマウロさっきお前らを襲ったのはコイツで間違い無いな？」

「そ…そうだよコイツだ！」

　アーリッヒは思いっきり踏み込んでバーゲストに斬りかかったが前足の鋭い爪でアッサリ弾かれてしまった。

「ぐっチクショウ」

「交代です」

　メアリーはアーリッヒを踏み台にして思いっきりジャンプした。バーゲストの顔面にに拳を叩き込んだ。

「オ…オレを踏み台にしやがった？」

「硬化拳（アイアンナックル）！」

　メアリーの一撃でバーゲストは頭蓋骨が砕け、そのまま絶命した。

「スゲエ1発で倒した」

　その後、怪我をした父親を見つけだし、手当てするとお礼がしたいというので山菜採取に参加してもらい見つける事ができたので依頼（クエスト）はなんとか達成した。