6日目 全自動戦術型ネクロマンシー

「結局、全自動何とかって何なんですか?」


 全自動ミーティングに出席したはいいが、話の内容が全く理解できなかったコタンは上司のアムラトに聞いてみた。アムラトはびっくりしたような顔をしたが、説明してくれた。


「来年、大きな戦争があるでしょ」

「はい、隣の国と領土問題で……?」

「その戦争に役立つ魔道具ツール魔機構システムを王都に売り込む話が出てるんだよ。戦になったら人が死ぬでしょ? 切られたり突かれたりして」

「はい」

「それを、その場で死人占い術ネクロマンシーで生き返らせる。ゾンビとかスケルトンの状態で。そうすると、こっちの兵隊の数は減らないでしょ? 戦いがかなり有利になるのよ」

「へえ~気持ち悪いですね」


 気が付くと、アムラトの周りに支社の人間達が集まってきていた。


「そんな話があったんですか? 結構大きいプロジェクトですよね」


 支社社員の占い部門の3級占い師であるヤスミナが声をかけてきた。支社長でもあるアムラトは冷静に答える。


「連絡帳に乗ってるでしょ。連絡帳が共有されたら、皆さん必ず内容を確認してね。不明点があったらその時に必ず聞くように」


 なんでそのミーティングに自分が参加させられているのかとか、いろいろ疑問は沸いてきたが、今日のところは考えないようにした。

 報告書の修正に会議での発言内容の用意、何より日々遅れてたまっていくノルマの方がコタンの頭の中で大きな比重を持っていたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る