第5話 模擬戦─天宮輝夜VS祀翠歌織
「っあ二人共、もう大丈夫なのかい?」
客席から二人に柔和な笑みを浮かべ声をかける生徒、
「問題ない、危うく死ぬ所だったけどな」
「こちらも問題無いわ、本当に死にかけましたけど!」
「あはは、手加減しなきゃ駄目だろ?
「お前も知っての通り、十分やった。それに、技術レベルなら彼女の方が上だ」
「あら、煽てても何も出ないわよ」
「事実を言っただけですよ」
雑談に花を咲かせていたが、段々と
「っあ、始まるみたいだよ。二人共」
「それではこれより第二回戦、天宮輝夜と祀翠歌織の模擬戦を開始します。両者、構え!」
それを合図に一斉に武器を構える
「ッ!あれは……」
更に驚きだったのはその現象が
鞘から引き抜かれたエストックもとい【
「あれが、エーテスタンス……それが二人も……見物だな」
「想いを司す不滅の誓いよ、我が眼となり万物を映したまえ───
円型の陣が青く発行して眼に馴染んでいく。完全に馴染むことで視力が一時的に上がり、魔力の流れやエーテルの流れが可視化される。
「眼が悪いのかい?」
「ああ、完全にゲームのしすぎだな。というか、よくこの術式が視力補強だってわかったな?」
「なんとなくだよ、眼に集めてたから」
「ちょっと待ちなさい、私との試合で使って無かったわよね?」
横で聞いていた
「あ〜……忘れてましたね、はい」
「ック……屈辱的だわ」
そこで会話は終わり、再び会場へと意識を向ける。
郷花は二人がしっかり構えたことを確認して、息を吸う。
「ッ始め!!」
「
五連撃の突きと二連撃の斬りを合わせ高速で織り成す業。水色の軌跡を描きながら繰り出されたそれは、容赦なく
「ッ!?え、ちょっと何それ!?」
「ッな!?あれは!!」
「どうして彼女があの式を!?」
驚き眼を見開くのは
「
「そんな訳ないだろ、初対面だぞ。そもそも術式自体俺達二人しか知らない筈だ。纏めた本だって元本の二冊だけだ」
霊符を正面に構え術式を唱える
「陰に隠れし真の姿を現したまえ、急急如律令ッ!」
霊符が言葉に反応し、燃え上がって炎に溶けそこを中心に霊力で作られた彼女の背丈と同じくらいの半透明な霊符が現れた。それに向かって【
「
「さっきは驚かされたけど、私だって負けないよ」
ニッと口角を上げ
「えぇ……嘘でしょ
意表を突いた一撃をお見舞いした
【
「今度はこっちから行くよ!槍剣技式【
十連撃の突きを高速で繰り出す業。一撃、ニ撃と
「ック!」
六撃、七撃をそれぞれ右肩、左肩、に食らい、八撃、九撃目胸に連続して叩き込まれる。最後の十撃目は鼻を目掛けて迫る。
「
中級魔法【
「おいおい、あの業まで使えるのか」
「これは……ちょっと調べる必要がありそうだね」
即座にバックステップで後方へ下がった
「槍剣技式【
この業も素早い突きを繰り出す物で、今回は前にではなく横からそれを発動させ、迫る【
ギィィインと激しく音を響かせながら弾かれた【
数秒のにらみ合いが続き、観客席にもその緊張がピリピリと肌に伝わってくる。その沈黙を破るように
「これで最後にしよっか、
「うん、これで決めよう、
刀身に刻まれた術式が激しく光輝し、眼を見開いて同時に式を魂を込めて叫ぶ。
「
「槍剣技式【
蒼い十の斬撃と鋭い一突きが空気を割き、漂うエーテルも魔力も割き
周囲のエーテルが形を創り、その一突きの刃は赤き鬼の顔に化け、
「はぁぁあああ!!!」
「せやぁぁあああ!!!」
二人の剣は激しく衝突しけたたましい音と光を演習場に轟かせ、突風を巻き起こし客席にまで届く。
「っう、風強すぎッ!激しすぎよ!!」
「うぉぉ……っあやべ、【
「
立ち込めた煙が徐々に晴れ、現状が露になっていく。会場には皹が入り所々欠けている。空気中のエーテルと魔力が不安定になり、装置も機能が停止した。その光景に客席は次第にざわつき出す。
煙が完全に消える。そこに立つのは
「両者の気絶を確認。不戦勝とします!!」
近寄り二人の安否の確認をした郷花が告げる。
「
「オッケー」
二階の客席から飛び出し、二人の元へ駆け寄った。
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