2021/04/03

2021/04/03


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 FSMの信徒でもあるに当たり異教の聖人が生まれた日だからどうと言うのでもないが、あれが出掛けないのかと言う目線を向けて来たので念の為と用意していたプランに沿って街歩きを敢行した途上。

 タワービルの最上階で食事の予約も万端整えていた私は完璧なエスコートで相応にめかし込んだ彼を其所へ誘った。


 天井のシャンデリアから注ぐ柔らかな光に包まれた優美なエントランスホール。手近なエレベーターが間も無く到着することを告げたが

 「ちょっと見て行こうよ」

と言う彼の一言でエントランスを一周する事になった。急ぐ事もない、それよりも楽しそうな彼に従って隣を歩きたかった。

 しかし入り口でこの喜びよう、上階からの夜景を見ては卒倒するのではなかろうかと密かに笑う。


 ゆったりとした足取りで進む二人、眼の輝きの衰えない彼を眺める内、急に思い立ってその細腰を抱き、手を取った。見様見真似だが其れらしくステップを踏む。

 「『ダンスホールみたいだ』って思ったろ?」

 驚愕に目を見開き何故解ったのかと問う彼に「解るさ」とだけ返して再びエントランスを回り始める。


 数組のカップルとニアミスする、視線は気にならない、視界に二人以上捉える余裕がない。彼の美しさを噛み締められる瞬間は何時だって他の何物も不要だった。


 「邪魔しちゃうところだったね」

 楽しそうに笑う

 「しないさ、俺らの邪魔だってさせない」


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 「…って気障りな台詞の直後に目が覚めたんだが」

 「ラブコメの読みすぎです、今夜寝る前にベルセルク全巻読んでおくように」

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