未完成の約束

クロレ

第1話

 ----Ladies and gentlemen こんにちは これから皆さんにはゲームに参加してもらいます。



      * * *



 4月8日。快晴。

 真新しい制服と、桜の匂い。大勢の人の声。

 僕、浅井九十九はブレザーの下に着たフード付きのパーカーを深くまで被り、俯いて速足で教室に向かった。


 今日は、入学式だ。家に引きこもりだった僕は、父に勝手にこの学園にいれられた。

 この学園は多くの生徒が通ういわゆるマンモス校だ。ここに通う生徒は、2種類いる。

 1つは、一般人。偏差値が高いので、大学進学をめざすものばかりだ。

 もう1つは、多額の寄付金を収めている生徒。

 校舎が2つに分かれているため彼らが会うとこはないとパンフレットに書かれていた。

 長い入学式が終わると、再び教室へともどった。



      * * *



 頭が痛い。

 どうして床に寝ているんだろう。久しぶりに外に出て倒れたのかな。

 何て思いながら、気怠い体を起こした。

 周りがざわついていることに気づいて、顔をあげた。


 そこは知らない場所だった。

 床は白と黒のタイル。壁は赤一色で、巨大なスクリーン。置かれているのは、スロット、テーブル、ルーレット。

 そこはまるでカジノのようだった。

 周りにいる人たちは、僕と同じ高校の制服を着ている。そう、クラスメートとなった人たちだ。

 彼らも僕同様、突然ここに連れて来られた様で不安の声を漏らしている。


「大丈夫?」

 心配そうに声をかけてきたのは、髪を茶色に染めた男の人だった。

 突然話しかけられて、なんて返していいのかわからず俯く。

「式の時からずっと具合悪そうだったから心配で」

「あ・・・あの、あ、あり、がとう。大、丈夫・・・です」

 親以外の人と話すのが久しぶりすぎて緊張する。上手く話せただろうか。声裏返ってないよね。

 そんなこと考えているとクスリと笑い声が聞こえた。

 あぁ、そんなに変だったのか。

「なんで敬語?俺たちクラスメートなんだからためでいいよ」

 思っていたことと違うことで、驚いて彼を見る。

「はは、俺は瀬戸茅。よらしくね」

 瀬戸さんは、僕に手を差し伸ばしていった。

「・・・浅井、九十九」

 彼の手を取らずに言うと、僕の腕をつかんで引っ張り立たせた。


「よらしくね、九十九」


 そういう彼から何にも感情が読み取れなかった。


 ザ、ザザザ


 スクリーンからノイズ音がしてそちらを見る。


「Ladies and gentlemen こんにちは これから皆さんにはゲームに参加してもらいます。」


 スクリーンに突然現れたピエロが、そう言った。


「まずは、入学おめでとうございます。32人の問題児諸君。君たちが消えようが、死のうが誰も悲しまないクズでよかったですね」


「?」

「公にはされていないけど、俺たちの通う学園は、一クラスだけ素行不良の生徒が集められたクラスがあるんだ」

 瀬戸さんの話を聞いて納得した。

 中学をまともに通っていないし、受験をしていないのに僕なんかが入学できたこと。はじめは、父親が多額の寄付でもしたのだろうと思った。けれど、同じクラスになった人の中には寄付何てできなさそうな人もいた。そかも、僕たちのクラスだけ隔離されるように別のところにあった。

 けど、どうして僕たちなんだ?


「皆さんに行ってもらうのは、チェスです。まず、ルールと規則から説明します。」



 ~ ~ ~

 ルール

 1・チェスの駒は決められたマスにしか進めない

  (白と黒、動かすことができるのは一日ずつ交互とする)

 2・一日一回ピエロからの質問に答える。答えた人(駒)が一マス動ける

 3・規則は守る

 4・駒の移動選択権、どの駒を動かすかはキングが決める

 5・ルール・規則を破った者は退場


 規則

 1・授業はさぼらない

 2・質問時間には必ず全員が集まること

 3・国同士の通話は可能だが、いききは不可能


 ~ ~ ~


「生き残った者だけがここから出ることができます。最後まで生き残ることのできるはだーれだ。」


「くだらない。誰がそんなものやるか。早く元の場所に帰せ」


 茶目っ気一杯に言ったピエロの言葉に重ねるように男が言った。

 中学を卒業したばかりとは、思えないほどよくついた筋肉。金に染まった髪。着崩した制服に、ジャラジャラとつけたアクセサリー。まさに不良というような人だ。

 彼の周りには同じような人が3人。煽る様に言葉を発している。


「うるさいよ、クズども。まぁ、丁度いい例を見せられますね。みなさんに見ててください、これがルールを破った者の末路です」


 バンッ、バンッ、バンッ、バンッ


 ピエロが言うのと同時に銃声が4発なった。

 瞬間血の匂いが、鼻の奥まで突き刺さる。


 撃たれたのは、ピエロに歯向かった4人だった。

 寸分の狂いもなく頭を撃ち抜かれている。即死だ。

 しばらくして、状況を理解し始めた者たちが悲鳴を上げていく。

 現れた猫、くま、うさぎ、ブタの形をしたぬいぐるみが死体となった男たちを運んでいく。どこにそんな力があるのかと疑わしいくらいあっさりと、床に付いた血も綺麗に。まるで初めからそこにいなかったかのように。


「あぁもう、うるさい。クズども。だまってください」


 ピエロがそういうと、ぴたりと静まり返った。

 ここで殺されたくないからだろう。

 その後は怖いくらいスムーズに進んだ。

 白か黒か、何の駒なのかはピエロがあらかじめ決まていた。

 さっき4人退場させられたことにより28人、14人ずつからの開始となった。

 僕は白のキングとなってしっまた。僕なんかがこんな役割できっとない。


 白と黒に別れ僕たちは、共有部屋にいた。

「こんな奴がキングとか、おわったな」

 そう言ったのは、確かルークの一人渡来暮人さん。

 そんなこと、僕が一番わかっているよ。

 視線から逃げるように俯く。

「ちっ」

 渡来さんは、苛立ったように舌打ちした。

「まあまあ落ち着いて、いいじゃん九十九くんが一番頭良さそうだし」

 僕と彼の間に入ってきたのは、クイーンの姫倉純さんだ。

 彼女は「ね」と僕の顔を覗き込んで、笑いかけた。それがたまらなく嫌で、与えられた部屋へと閉じこもった。

 途中「やっぱ無理」と聞こえた。

 こっちがもう限界だ。早く帰りたい。こんな人がいるところ僕には耐えられないよ。



 中学生時代は、ずっと家の自室に引きこもっていた。

 最後に外へ出たのは、小学6年の春。

 人の視線が怖くて、いつも俯き、少しでも視線から外れるように伊達メガネをかけていた。ひどいときは、フードを深くまで被った。

 それがよくなっかたのだろう、人と違う僕をクラスの子たちはいじるようになった。そうなれば、さらに視線が集まる。次第に、家から出られないくらいになっていた。

 小さい頃は、普通だった。いつからか分からないけどこうなった。

 入学式に出たのだって、父に無理やり連れて来られたから。じゃあなかったら、こんなところいない。

 外に出たくない。

 このままここにいられたらいいのに。




   ~ ~ ~




 翌日。授業が行われる教室へと行った。

 朝ご飯は、食べていない。食べるためには、食堂に行かなくちゃいけないから。あそこは、人が集まる。

 朝からそんなことできない。

 教室へ行くと、すでに何人かいた。

 席は自由なので、僕は入り口から反対側の一番ん前の席に座った。


 しばらくすると、全員が集まった。


 規則でもあったように、白と黒は通話でしか繫がれない。生活は完璧別だ。もちろん、この授業も。


 全員が席に着き、入ってきたのはウサギのぬいぐるみだった。

 初めは、驚いたが意外と普通の授業だった。

 1限50分、6限まで。行われ、授業の間には10分間休みがある。昼休みも60分あり、ごく普通の学校とこかわらなかった。

 科目ごとにぬいぐるみも変わった。

 ただ、常に皆から緊張感が張り詰めていた。

 あたりまえだ。規則では、授業はさぼらないとあった。それが、どんな基準なのか分からない。だから、居眠りをする人がいなければ、ノートを取らないという人もいない。指名されれば答えるし、質問もする。

 まるで、いい子ちゃんばかりのいようなものだった。



 夕方となり質問時間となった。

 共有室に集まる。

 指定の時刻になるとスクリーンがおりてきた。昨日と同じように、そこからピエロが現れた。


「こんばんわー先攻は、白のあなたたちです。今日の駒は誰ですかぁ九十九くん?」


 ピエロが僕に振る。

「え、えっと・・・ポーンの江波真衣さん、でおねがいします。」

 1aの位置にいる彼女を、一歩動かすために選んだ。

「えっ!?わたし?」

 江波さんは、驚いたがすぐにスクリーンの前に出てきた。


「では、質問です」


「は、はいっ!!!」


「あなたは、女性です」


 思っていた内容と違い、伏せていた顔をあげてピエロを見た。

 彼は変わらず笑みを浮かべていて感情が読み取れない。

 ピエロの質問のような問のようなものに皆が驚いている中、彼女は違った。


「当たり前です。わたしは、女です。ピエロさんはそれ以外になにに見えるというの?」


 と、ピエロの質問の裏を考える様子を無く答えた。


「せーかいでーす!!!!」


 え?こんなのでいいの

 江波さんはただ正直に答えただけだ。


「なんか皆さん、分かっていないようですからもう一度いいますね。このゲームに生き残れるのは、正直者だけです

 それでは、お馬鹿のクズ諸君次は、明後日です。それまでさようならー」


 そういうと、画面は暗くなりスクリーンも消えた。

 ピエロが消えるととたんに騒がしくなった。

 考えることは、ピエロが残していった言葉。考えるまでもないはずなのにな、と思う。

 だってそのままの意味だろうから。このゲームのキーワードは‘正直者’だ。ピエロの質問には嘘偽りなく答えろ、ということだろう。

「九十九はなにか気づいた?」

 瀬戸さんの問いかけに、僕は首をふった。

 言ったところで、どうにもならないし。それでもまだ、分からないことばかりだから。質問に正直に答えたとして、駒を取られれば終わり。ゲームが先に進まないと分からない。




    ~ ~ ~




 質問内容が意外にも簡単なもので、安堵したのか翌日の教室内はどこか明るかった。


 今日の授業も何事も起こらず、あと一限で終わろうとしていた時だった。

 科目は、数学。教師は、くまのぬいぐるみ。

 それは、あまりにも突然なんの前触れもなく現れた。


 バンッッ


 ドアが勢い良く開きぬいぐるみ以外の全員がそちらを見る。するとそこには、異形の化け物がいた。

 見た目は、人間だが皮膚が爛れ醜い。体のあちこちには塞がっていない傷。そして、ひどい腐敗臭。それは、まさに映画や、物語に出てくるようなゾンビだ。

 ゾンビなんて架空の化け物のはず。いるはずがないのに。


 やつらは、「あー、あー」と音を発し、こちらへ向かってきた。

 くまは、そんなのおかまいなしに授業を進めていく。ゾンビも、くまを無視し僕たちの方だけに来る。

 入り口に一番近くに座っていた女の子が捕まる。

 捕まってからは一瞬だった。なにが起こったのか理解でできず、茫然としていた彼女は、ゾンビの大きく裂けた口でまず肩を喰われた。


「きゃああああああああああああ!!!!!!!」


 ようやく自分の身に何が起こったのか理解し恐怖、恐怖と痛みで叫ぶ。

 彼女の血に誘われるように、ゾンビが群がる。

 バリバリ、グチャグチャと音をたてて喰われていった。


 彼女は跡形もなく喰われた。残ったのは、血だけ。


 そこからは混とんとした。泣き叫ぶもの、必死に逃げるもの、戦おうと机や椅子を持つもの。

 僕は、どうしたらいいのか分からず、動けなかった。


「えぇ、ではこの問題を村井慎二君」


 くまが場違いにもそういった。

 今は授業どこらではない。

 村井さんは、逃げることに必死で答えなっかた。


「村井慎二君?どうしたんでーすか?答えないと授業放棄とみなしまーすよ」


 無理だ答えるとこなんてできない。


「わかりましーた。放棄ですーね」


 ?どういう意味だろう。


 すると、くまはパンパンと二回手を叩いた。

 直後、パンッと何かが破裂する音が聞こえた。


 ピチャ


「え?」


 頬に液体がつく。拭ってきずく、それは血だった。

 一体どこから。あたりを見渡して、わかった。あの破裂音、この血。村井さんだ。

 彼の近くにいた人に、返り血が多く被っている。

 彼の突然の爆発に、さらに場は混乱する。


「じゅあ、市ヶ谷仁乃さん」


「え?」


 この状況でまだ続けるの?

 そういえばあれは、授業放棄っていていた。もしかして

 混乱と恐怖で、おろおろする彼女に向かって叫ぶ。


「なんでもいい答えて」


 この中で聞こえるかどうかどうか分からなかったけど、ちゃんと届いたようで目が合う。

 お願い答えて。規則にしたがって。


「い、1です。」


 その声はか細く、消えてしまいそうだったがくまには聞こえたようで


「正解です」


 と、いい解説を始める。

 なんとか1つ切り抜けた。あとは、ゾンビだけ。どうすれば、奴らを殺せるのだろうか。


「九十九伏せて」

 呼びかけられるが、何のことかわからずいると、背中を引かれ体勢を崩し尻もちをつく。

 それをやったのは、瀬戸さんだった。

 彼は、どこで手に入れたのか銃を持っており、それでゾンビの頭を撃った。

 何の躊躇もなく。

「それ、どうし・・・・・・」

「戦える人は、奴らの頭を狙って、それ以外のみんなは戦える人に守ってもらって。九十九は俺の後ろにいて」

 瀬戸さんが指示を出す。それに従って皆動き出した。

 彼の指示は的確で、負傷者が出たもののあれ以降死人はでなっかた。

 ゾンビを、全滅させることができたのは授業が終わりを告げたにと、同時刻だった。

 くまが出っていたあと、緊張と恐怖からの解放でみんな座り込む。


 黒板の前にスクリーンが降りる。そこから、現れたのはピエロ。


「いやーすみません。説明するのすっかり忘れていました。お前たちには、こうしてゲームとは別にゾンビと戦ってもらいます。

 えーゾンビとは、正体不明の生物。人間の死体からでき、人間を喰う生き物です。殺すには、頭を破壊するのみ。世界中にいる、未だ解明できていない化け物です。

 殺さなければ死にます。奴らに殺されて全滅なんて、つまらないので共有室にプレゼントを用意しておきました。

 それじゅあ、頑張ってください」


 画面が消え、スクリーンが上にあがる。

 ゾンビが世界中にいるって言っていたけど、そんなこと聞いたことなかった。

「立てる?」

 瀬戸さんが僕に手を差し伸べてくれた。完全に腰を抜かしてしまっていたから、その手を掴み立ち上がった。

「ありがとう、瀬戸さん」

「茅でいいよ、ほら呼んでみて」

「え、・・・ち、茅、くん」

 下の名前で呼んでいいと、言われなんだか恥ずかしくなる。

 彼は満足したように頷いた。


「みんな、これからどうするか話そう」

 全員が茅君に注目する。

「話し合を無くても決まってんだろ。戦わないと喰われるんだ。戦うしかないだろ」

 そう言ったのは、渡来さんだ。それに対して、何人か頷いている。

「でも、戦うって言ってもあたしたち戦い方なんてわかりませんよ?」

 江波さんが挙手し、渡来さんに対し意見した。

「そうだ、お前たち男子はまだいい。けど、私たち女は弱い」

 立花悠さんが、江波さんの意見を強く押した。

 ここで、戦うかそれ以外ないのかと別れた。

「九十九はどう思う?」

 突然茅君が、僕に振ってきた。

「え、僕?」

 みんなの視線が、集まる。怖い、けどなにか言わないと。ずっと僕に、注目するばかりだ。

「えっと・・・僕は戦った方がいいと」

「だから、私たちはどうすれと?すぐに、死ねって言うのか」

 立花さんが噛みつくように言った。

「ちが、う。みんなで、戦う力を、つくろ。ピエロからのプレゼントが、なにか分からないけど、それを、利用して、絶対に、死なないように」

 伝わったかな。

「はい。あたしは賛成です!」

 江波さんが、言うとみんな賛成してくれた。

「ほら、悠」

 市ヶ谷さんが諭すように言うと、立花さんも頷いてくれた。

 ホッとする。

「あ、あのそれで、一つ。提案なんだけど。あの、たとえ、何が起ころうとも、ゾンビが現れても、授業には、受けて欲しい、です。」

「ゾンビが襲ってくる中で?」

 渡来さんが、僕をにらむように言った。

「うん。これはまだ、僕の憶測だけど、授業に出て参加していれば、規則を破るってことにならないと思う。その、見えて分かればいい。先生の質問、問に答えるとか、」

「私は、そうするべきだと思うよ」

 優しく言ったのは、市ヶ谷さんだった。

「あの時、浅井君に声かけてもらえて助かったもの。その憶測は合っているっておもう。ありがとう浅井君。」

 その感謝の言葉に首を振る。

「いざ、そのときが来たらどうなるか分からないけど、俺もそれが最善だと思うよ」

 茅君も受け入れてくれた。


「俺は、ゾンビと戦いとこは賛成だけど仲良しごっこはしない。ルールは破らないけど俺は勝手にさせてもらう。


 彼、渡来暮人さんはわざわざ僕の前に来てそれだけ言うと、教室を出て行った。




 そのあと、共有室に行くと、人数分の武器、武器を使うための本、戦うための指南書が置かれていた。

「あの、ち、茅君。」

「なに?」

「その銃、どこで」

 ゾンビを倒したとき、茅君はそれを持っていた。ピエロがここにそれらを、置く前だったはずなのに

「見つけたんだ。ここに来た日に」

「そ、っか」

 俯いていて分からなっか。茅君どんな顔をしていたのか





    ~ ~ ~






 それから、つたないながら武器を手にしてゾンビと立ち向かった。

 皆元々、運動能力が高いのか、潜在能力が高いのかそれを使いこなしていった。僕は、全然だけど。

 どうやっても上達しない。すぐに殺されそうになる。そのたびに、助けてくれるのは茅君だった。けど、それ以上に助けてくれるのは、渡来君だった。


「あぁもう、お前危なっかしんだよ。俺が守ってやるから前に出るな。わかったな!」

 助けてもらって何度目だったか。彼は、僕にむっかて言った。

「え?い、いや。そんな、悪いよ。僕のこと気にしないで」

「はぁ。分かってんのか?お前が死んだら俺らは、終わりなの。だから、大人しく守られていろ

 大体なんで、そんな前にでて戦いたがるんだよ」

「僕が、言ったから。戦おうって。なのに、なんもしないのは、」

 言い出したのは僕だ。なのに、何もしないとなるとやっと纏まりかけたのに、またバラバラになるかもしれない。


「無理無理。やめておけ。お前、そっちの才能ないし。お前は、ゲームで勝つことだてけ考えていろ。そっちだって、戦っているだろ。頼れないけど、お前は俺たちのキングだ。堂々としてろ。何か言うやつがいたら、なんとかしてやる。」

 まさか、彼からこんな言葉聞くなんて思ったいなかった。僕のとこ嫌っていたから。

「ないに驚いてんだよ。戦い何て、ゾンビとだけじゃないだろ。チェスもそうだろ」

 当たり前のようの言う渡来さん。なに勘違いしてたんだろ。戦いは、一つだと思っていたなんて。馬鹿だな


「ありがとう。渡来さん。」

「・・・でいい」

 ?小さくてよく聞こえなかった。

「だから、暮人でいい。敬称もいらない。呼び捨てでいい。だから、その、俺も、つ、九十九って呼ぶからなっ!!」

 顔を真っ赤に染めて、照れながら言ってくれた。それが、うれしくって、可笑しくって、笑う。

「っ、なに笑ってんだよ」

 まだ、頬を赤く染め僕を睨む。けど、それは全然怖くは無かった。





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