第5話好きってなんだい?

本当に・・何でこんな奴となのに。キスってこんなに気持ち良いの?!

ダメだ!本当に!!

「ちょっと本当に・・。やめてくれ!」

必死でシアンを引き離した。


「異能発動しないね?本気でやってる?」

ニヤリと笑いながら俺の頬を撫でる。


「うぅ。やってます。」

自分の顔が赤く染まっているのを感じる。

やっぱり人を護る時にしか発動しないのかな。

それともキスされるのが嫌じゃないのか。


ダメだ。解らない。


「シアンはその・・・。俺が好きなの?」

まだ全然、俺はこの人に愛情とか持てないんだけど。

もし彼が俺を好きなんだったらきちんと考えないといけないとは思う。


「好きってなんだい?」

欲情や発情とは違うの?と聞かれて。

怒りが込み上げてきた。


「好きじゃないならもう絶対しない!!くそ!!二度とキスするな!それ以上も!」

ムカつくと語彙力が無くなるなと思ったがそんな子供みたいなセリフを吐き捨てて立ち上がってリビングのテーブルへ移動した。


自分のバッグを開けてお茶を取り出してがぶ飲み。

あー!ムカつく!せめて一目惚れしたとか言うなら可愛げあるのに。




「うーん?何故怒っているのかさっぱり解らない。」

シアンはソファに座ったまま腕組みして首を捻っている。

あぁ。俺はこんな奴にやられたのか。

ショックだ・・・。

ペットボトルをダンっ!と怒り任せにテーブルに置きシアンの顔を睨みつけた。


「はぁ。」

もう溜息しか出ない。全然こいつ解っていないみたいだし。



あれ・・・。眠い。えっ?突然?

本当に1週間は殆ど寝てるとかシアンが言っていたけれどこんなに我慢出来ないものなの?

足から崩れるように床に倒れて・・・。

Zzzz・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・



「おーい!また寝た?」

やれやれ。世話が焼ける異世界人だ。


床に倒れたナナシは寝息を立てて本当に寝ている。

「活動時間の限界は連続2~3時間?って所かな。」

抱えてベッドに運ぶ。


キスの後の続きが出来るかと期待したのだが何やら怒るし。理解不能。


性欲?欲情?発情?と何が違うと言うんだ?

したいからするではダメなのだろうか。



まあ、良い。

ちょっと気になる事もあったから寝てくれた方が助かる。


携帯っと。

おっ。駆除人からだ。


―遺体処理完了。支払い宜しく―


メールが来ていた。相変わらず仕事が早くて助かる。



要件はメンバーにあった。


「もしもし。シアンだが。寝てた?」

電話の相手はのCapriceカプリスメンバーの1人ハーミット。


「何?」

彼も俺と同じ様なタイプの人種で殺人好きのドS傾向があって勝手に気が合うと思っているのだがイマイチ好かれていない。


「今、匿っているナナシの事なんだけど。調べて欲しい事がある。」


「で?」

警察管轄の異能者が話していた事を話す。

確かに異世界人が召喚される情報は無いと言っていた。


「ボスの命令に逆らって殺し?」

冷たく言い放つハーミット。


「それは理解されての勧誘だった筈だよ?取り敢えずハッキングして欲しい。」

彼の異能を組み合わせたハッカー能力は本当に素晴らしい。

本当に召喚された異世界人で無ければ政府も捜していないだろうから今後、メンバーに引き込んでもリスクが無い。

そう言う説得をして電話を切る。


末端の警察だったから知らなかっただけかもしれないが。



ナナシ、良く寝てる。

自分もベッドに入った。隣に寝ても起きもしない。無防備過ぎる。


可愛い。


あぁ。そう言う言葉が似合う。

「早く君の名前を知りたい。」

スヤスヤと眠るナナシの髪を撫でてみた。

本当に起きない。

そっとキスをする。犯したいそんな衝動も起きるがどうせなら起きている時にじっくりと。ペロっと舌なめずりをして横になる。


少し寝るか。


2時間後。電話の音で目が覚めた。

「早いね?もう終わったの?」

ハーミットからだった。


「家の前に居る。開けろ。」

へー?珍しい。

気配を確認して初めて居るのが解った。

流石、Capriceカプリスのメンバーだ。


扉を開けると彼の姿があった。


「その様子だと俺の予想が当たった?」

「政府はここ最近は誰も召喚していない。勿論、捜索司令も出ていなかった。」


大当たり。野良異世界人確定だ。


「何か飲むかい?」

ハーミットに尋ねると珈琲。そう言って椅子に座った。


「寝てるのか?」

ベッドのナナシを見てハーミットは苦笑する。


「珍しいねぇ。わざわざ家に来るとは。」

実際に彼は俺に対してフレンドリーさの欠片も無い。俺もメンバーと馴れ合う気は無いが。


様子見に行けと命令されたって所だな。


「俺は自分のハッキング能力を信じている。どんな極秘情報も手に入るし。この男が召喚されていない異世界人なのは確定した。」

なるほど。

珈琲を飲みながらハーミットは満足そうにニヤリと笑った。


「お前?さっき2人殺したと言ったが?3?いや4人殺ってるな?」

鋭いねぇ。


「風呂入ってないだろ?血の匂いする。」

「バレたか。」

仕方ない。シャワー浴びるか。


「見張り頼むね。起きないと思うけど。」

ナナシを殺りに来た訳では無いとは思うが一応警戒しておく必要があるな。


「見張り?まだ2~3日は赤子並に寝る筈だ。多分起きない。」

ハーミットは珈琲を啜りながら勝手にテレビを付けた。

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