転生令嬢と精霊王の密談。2

 

「だが…それを人間共が認めるかどうかだな」


先程とは変わり、ベネは険しい表情を作りました。


世間が認めるか、ねぇ……ヴィアスなら跳ね除けそうですが。


「しかし、ヴィアスならそんなのやってのけるだろう?」


「じゃが、それでも反対するのが人間の汚点じゃ。さっさと認めればいいものを…」


二人して考えましたが、何も浮かばず、頭を抱えるばかりです。


けれど突然、ふと頭にある考えがぎりました。


「……


無意識に零すと、ベネが驚いた顔をしました。


「まさかお主、自ら正体を明かそうとするのか?」


「いや…は、な」


ベネにそう返すと、ベネは「誰が後片付けすると思っておるのじゃ」と、呆れた顔で言いました。


お前に言われたかないわベネ!!


心の中で突っ込みつつ、どうしようかと頭を働かせます。


「まぁ、おおやけにしなければ平気じゃろ」


「でも、厄介な奴らに追いかけ回されるのもな……」


「大丈夫じゃよ。精霊と聖獣総員でやり返すからのぉ」


「笑顔が黒くなってるぞ」


「気のせいじゃ気のせい」


話が脱線してるような……いや、明らかに脱線してますね。


とりあえずこの件は一旦終わりましょうか。


「今日のところはこのくらいで充分だろう。ほらベネ、イア達を待たせてるからさっさと行くぞ」


私がそう言うとベネは、

 

「ったく、精霊使いが荒いのう」


やれやれと言わんばかりな口調で言葉を返し、うんしょと腰を浮かせた。


「して、早く精霊王の神域フェアリーキングゴーテから、離れるかとするかの」


ベネは扉を開け、私の首根っこを掴みました。


「ぐぇっ! ちょ、ベネ苦しい!!」


「ちょいとの我慢じゃ。辛抱したまえ」


いや、これすっごい苦しいから!!


ちょいとじゃないっつの阿呆!!


お前の辞書には配慮っつー言葉はないのか!!


心の中でベネを罵倒して、首の苦しさに耐えました。


勿論イア達にこってり絞られましたけど。


ベネがね!!


私を首根っこ掴むからですよ。…自業自得ですね。




◇◇◇




≪ねぇ、ベネラヴィ様?≫


腕組みをしベネの前に仁王立ちでベネをブリザードスマイルで見下ろすイア。


威圧感が半端ないです。


怖い、私の契約精霊怖い。


≪なーんでライラが放り投げ出されたんですかねェ? どこの誰が放り投げたんですかねェ??≫


≪いくらベネラヴィ様であろうと私達のライラに酷いことをしたら許しませんよ?≫


≪てんめぇ、うちのライラに何しやがったアァ!?≫


三人共青筋を立て殺気を放っています。


怒り心頭の三人に流石のベネもヤバいと感じたのでしょう。若干顔が青ざめています。


え、私はって?


まぁ、うん。私は慣れっこですから。


理由?騎士団長をやっていたからですよ。


それ以外は全くありません!!


とりあえずイア達を何とかしませんとね。


「イア、ミア、レオ。もう私は大丈夫だから、ね? ベネをあんまり怒らないであげて?」


≪…ライラが言うなら≫


≪…分かりました≫


≪……ッチ、≫


イア達は渋々殺気を沈めました。


「ライラの契約精霊過激すぎるじゃろ……」


「それな」


すっかり怯えたベネの言葉に共感しました。

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