M. A. R. S.

火山たん

序章

プロローグ

地球は青かった。初めて宇宙を飛んだ人間はそう言ったらしい。今から120年近くも前のことだ。

重力から解き放たれたのは僅か2時間弱。地球を1周しただけ。それでも、人類にとっては偉大な進歩だった。


そこから始まって、私たちは遠いところにやってきた。

母なる大地から最も近い白銀の異星に再び辿り着き、住処とし、生まれ、旅立つ。

万物を創造する光の力で船は進み、永劫の闇に浮かぶ赤い星に。

夢は憧れへ、憧れは現実へ。

望遠鏡に映る点でしかなかった存在が、眼前に大きく広がる。


ここで私たちが暮らし、生まれ、そして歩むために。

私に出来ることが、やるべきことがある。そのためにやってきた。

さあ、見たことのない物語を紡ごう。始まりにふさわしい言葉を捧げよう。


「こんにちは、私の新しい故郷。魅惑の火星よ」

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